1930年代のグアテマラでは、ユナイテッド・フルーツが「国内最大の地主、雇用主、輸出業者にして、国内のほぼすべての鉄道の所有者になった」。バナナに依存した国々の人々はそんなアメリカのバナナ企業を「エル・プルポ」、つまり「たこ」と呼んだ。自国経済のあらゆる面をがっちりと掴まれ、逃れることができなかったからだ。
当然ながら、各国の経済を掌握したバナナ企業の絶大な影響力は、その国の政治にも及んだ。バナナ企業は自前の税関や警察すら持ち、その商売はその国の管轄権の外に置かれた。政治家は買収されて、「経済重視」の政策を約束させられた。
バナナ企業の利益に反することを企てる政府があれば(例えば、極端に低い税率をかなり低い税率にまで引き上げるとか、バナナ企業に未使用の土地を売却させるとか、労働者の権利をわずかに強くするとか)、バナナ企業の支援を受けたクーデターが起こされた。
フィリバスター(「海賊」を意味するオランダ語に由来)と呼ばれるアメリカの傭兵がそのクーデターに参加することもあった。20世紀の前半を通じ、それらの国には頻繁に、アメリカの企業、とりわけバナナ企業の利益を守るため、アメリカから海兵隊が送り込まれもした。
「バナナ大虐殺」を知っていますか
アメリカのバナナ企業がさらに悪名を馳せたのは、コロンビアでのいわゆるバナナ大虐殺だ。1928年の秋、ユナイテッド・フルーツの労働者がストライキを起こして、今日であればごく当然と見なされるような要求をした。
すなわち、トイレと医療設備を設置すること、賃金を値が張る自社の売店でしか使えないクーポンではなく、現金で支払うこと、労働者を貧弱な労働法で定められている最低限の保護すらも受けられない下請け業者としてでなく、従業員として扱うこと、だ。
ストライキが長引くようなら軍事介入すると脅すアメリカ政府の圧力にさらされ(周囲の国々の経験を見れば、それが単なる脅しでないことは明らかだった)、コロンビア政府は12月6日、武力でストライキを鎮圧する行動に出た。
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