ワインの神様が認めた醸造家、天職との出会い方 「逃げ道」があれば挑戦する恐怖心は和らぐ

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また、醸造家として腕を磨く上で重要になってくるのが「観察眼」。

醸造家としての第一歩は、優秀な醸造家をひたすら観察すること。

マネをしながら自分の血肉にしていくことからスタートし、ベースが出来上がったらその上にオリジナリティーを乗せていきます。

オリジナリティーといっても奇抜なことをするわけではありません。

日常のあらゆるシーンに目を凝らせば、醸造の過程で表れる誰もが見過ごすようなささいな変化に気付くことができる。

齋藤まゆさん
(写真:斎藤まゆさんご提供)

そんな繊細さを持って、丁寧にワインへ手を入れていくことで、同じぶどうで同じように醸造をしても、作り手によってワインの仕上がりには大きな差が生まれます。その差こそがオリジナリティー。

つまり、人のマネをする過程でもオリジナリティーを乗せていく過程でも「観察眼」が必要になってくるんですが、これもまたお笑いをやる中で磨いた能力です。

お笑い芸人ってモノマネをすることもあれば、日常のあらゆるシーンを観察して面白いネタを拾うことも多いですからね。

ワインの神様との出会い

こうして、オリジナリティーのあるワインを醸造できるようになった私は、キスヴィンの仲間に加わってちょうど10年がたった時、ワインの神様と呼ばれるジェラール・バッセさんに、自分が醸造したワインを試飲していただける機会に恵まれます。

私たちの自信作『キスヴィン シャルドネ』を口に含んだ瞬間、「何これ!おいしいじゃない!」とバッセさんの表情がパッと明るくなりました。

「どのくらい造ってるの?」

「1700本です」

「じゃあ、1500本買う」

そんなバッセさんの言葉を聞いた時は、現実の出来事とは思えませんでした。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事