「結婚は30代後半以降でもできる」は甘すぎる理由 40代以上は初婚より婚歴あるほうがモテる現実

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筆者は2020年以降、月に1度、結婚支援団体や地方の女性流出をなんとか食い止めようと頑張っている団体と勉強会を行っています。現場の声や上記のような統計的実態、またはインタビュー・ご相談内容等から、再婚者(特に1回目)がモテる理由は以下の3点があると思います。

① 自身の失敗経験から相手に対して寛容である(実例:検索条件が「再婚者もOKとしてくれる方」など)
② 若い時に結婚を決めた経験があるだけに、早め早めに動く行動力と決断力がある男女が多い
③ 複数回の結婚を目指すという行動からも「結婚したいという気持ちが強い」

以上からもわかるように、一度から数度結婚している男女のために、年齢が高いという以外(年齢条件以外)は、非常に強敵です。初婚を叶えるには若い男女ほど有利な理由はここにもあります。

30代後半から再婚者の成婚割合が急増する背景

かつてある研究会で「男も結婚を急いだほうがいい? そんなこといっても、もともと低めのスペックなんで若くたって変わらないじゃないですか?」と質問した方がいました。その方は年齢が高かったので、再婚者の参入など気にしなくてよかった総婚かつ離婚割合が低い時代の方でした。

筆者が「例えばスペックが同窓会の2軍であっても、1軍の同性が再婚を目指して戻ってくる前に、気になる相手との結婚を頑張れば、日本は一夫一婦制ですから、同じ同性に気になる異性を何回もとられずに済みます。だから急ぐんです」とお話ししたところ、「ああ、それもそうだな……」と身近な事例を思い出したかのような表情をされていました。

国の2022年の離婚統計を筆者が分析したところ、離婚された方の「別居開始年齢」のピークは、男性が30代後半、女性が30代前半で、アラフォーまでの男女の離婚が半数を占めています。30代後半から再婚者の成婚割合が急増してくるという結婚の実態を見事なまでに説明しているデータだと思います。

初めての結婚を目指す男女はぜひ、タイムリミットを設定して取り組んでほしいと思います。

天野 馨南子 ニッセイ基礎研究所 人口動態シニアリサーチャー

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あまの かなこ / Kanako Amano

東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年日本生命保険相互会社入社、99年より同社シンクタンクに出向。専門分野は人口動態に関する社会の諸問題。総務省「令和7年国勢調査有識者会議」構成員等、政府・地方自治体・法人会等の人口関連施策アドバイザーを務める。エビデンスに基づく人口問題(少子化対策・地方創生・共同参画・ライフデザイン)講演実績多数。著書に『未婚化する日本』(白秋社・監修)、『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)等。

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