「具体と抽象」で朝令暮改の上司の謎が解ける なぜあの人は言うことがコロコロ変わるの?

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これは、なぜなのでしょうか。その理由の一つは「具体と抽象」で説明できます。結論から言えば、言っていることがコロコロ変わって見えるのはものごとの具体しか見ていないからで、その裏にある抽象を見ることで、それらの根っこが一緒であることに気づくことができるのです。それは、「一つ一つすべてが違う」という具体の特徴と、「まとめて皆同じ」という抽象の特徴に起因します。

コミュニケーションギャップの原因とは

このような「具体と抽象によるコミュニケーションギャップ」を考えるうえでは、何が「同じ」で何が「違う」のか、について考えてみることが必要です。

これを説明する前に、実は話がコロコロ変わるのと同じメカニズムで起きる「言った・言わない問題」を具体と抽象の観点から見てみましょう。

ここでは話をわかりやすくするために、学校における先生と生徒の会話における「言った・言わない問題」を取り上げてみます。

ある日の放課後、先生が教室にやってきて教室の生徒たちに「今朝、放課後までに掃除用具をしまっておいてと言ったじゃないか! なぜ誰もやっていないんだ?」と少し怒り気味に言ったとしましょう。

でも生徒たちには掃除用具のことを言われた記憶はなく、友達同士で顔を見合わせてみても戸惑った表情をしているとしましょう。

勇気を奮い起こしたある生徒が「先生、僕たちそんなことは言われていません」と反論したとします。そこで先生は、「先生は確かに今朝そう言ったぞ」と言い、結局両者の間では「言った・言わない」の溝が埋まりませんでした。

このような「言った・言わない問題」はほとんどの人が何度か経験したことがあるのでは、と思います。原因が単なる「記憶違い」や「勘違い」で起きることも多いでしょうが、実は先生は確かにそのような言葉を発していて、みなさんも確かにその言葉を耳にしているのにこのような「言った・言わない問題」が発生する可能性があります。

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