小室直樹の著作が続々と復刻されるのはなぜか 「伝説の学者」の主著から思考の根源に迫る

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このエトス、普通は変わらない。ところが、ヴェーバーによると、たった1回だけ変わったことがある。それがいつかというと、近代資本主義社会が誕生したとき。
ヴェーバーが強調する点は、プロテスタンティズム、特にカルヴァニズムの厳格な予定調和説によってエトスの根本的変革が起きた。だから、1つの十分条件で、必要条件ではない。
カルヴァニズムのほか、いくつかの経済的・社会的諸条件、つまり、技術の発達、商業の発達があるレベルに達していることは絶対必要だ。諸条件の下で、カルヴァンの予定調和説というものがエトスの変換を起こして、それによって近代資本主義社会が生まれたのである。

社会の本質と構造に迫る分析

このようにして、小室は、マクス・ヴェーバーの先行研究を踏まえ、近代資本主義の誕生の謎、その本質的な発生原因に迫っていくのである。

この小室流の分析方法の中に「なぜ、小室本の復刊が続いているのか」の謎を明らかにしてくれるカギがある。それを端的にいうと、小室本においては、社会の本質に迫る分析、構造を浮かび上がらせる分析が理論的になされている、ということだ。

ある社会の本質、構造を明らかにする小室の分析は、一面において彼の鋭い直観力に支えられている。この点、直観的に迫る鋭い社会分析をする学者や評論家は、小室以外にも確かに存在している。

しかし、彼ら/彼女らは、本人としても、なぜ自分がそうだと見抜いたのか、分析できたのかが明確に表現できない。あえて表現するとすれば、「勘」とか「経験上」としか言いようがない。

また、彼ら/彼女らの鋭い分析を聞いている側としても、「なるほど! 言われてみれば、確かにそのとおりに違いない」と感じてスッとしたり、眼の前が明るくなったり、快感を覚えたりすることもある。しかし、残念ながら、そこまで止まりである。

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