理研改革はJカーブでなくγカーブで進める

松本紘・理研新理事長に聞く

――倍の力を出すためのマネジメントとは、どういったものなのでしょうか。

たとえば、光はその辺に散在している状態ではたいした力はありません。しかし、コヒーレントにする(波長や方向をそろえる)とレーザー光のような強いパワーを持ちます。同様に、理研に在籍するひとりひとりに共通意識を持ってもらい、皆でその方向に進んでいく。

そのための旗印が、5月22日に公表した「理研 科学力展開プラン」です。本当はひとつに絞りたかったが、研究とガバナンスのふたつはどうしても必要でした。しかし、日本人にとって偶数はすわりが悪い。それで産学のハブ機能、国際化、人材育成の3つを付け加えて5本の柱としました。これは大きな戦略です。細かい戦術はこれから決めていきます。

一連の問題で理研は不当に叩かれていた。メディアにはそういった役割もあることは理解しますが、いつまでもそんなことをやっていても仕方がない。日本だけでなく世界でもトップクラスのすばらしい研究者たちが、うつむいて背中が丸くなっていた。こんなことではいけません。上を向いて目が輝いていた、本来の状態を取り戻さなければならない。

改革は1年で方向性を決め、実践に踏み切る

――STAP問題以降、理研のガバナンスに対する批判も多く出ました。

まずは法律通りにやることですね。理研のミッションに対して、理事会がいろいろな判断を下しながら最大の成果をあげていくことが重要です。

理研には18のセクションがあり、それぞれに特徴があります。センター長の権限が強く、センターによっていろいろなことが違っています。これを機械的に同じ形に統一することは、研究機関という性質上なじまないですし、よい方向に働くとも限りません。どのような形にしていくのかはよく検討しないといけません。

――このプランをどのくらいの期間で実施して行きますか。

1年程度で方向性を決め、実践に踏み切りたいと考えています。細かい調整はあとからでもできます。よく「はじめは処女のごとく、のちには脱兎のごとし」といいますが、激動の世の中にそんなじっくりスタイルは合いません。Jカーブではなくγカーブで行きます。理研には意欲のある人が多いですし、自由に物を言える雰囲気もある。これは研究機関として当然のことです。しかし最終的に方向性を決めるのは理事会であり理事長です。

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