「(科学研究が)国際的に厳しい競争環境にある中で、新しいタイプの研究開発法人として十分な成果が出るように、一流の研究機関として仕上げていくことが私に与えられた任務」
4月1日、STAP騒動に揺れた理化学研究所の松本紘(まつもと・ひろし)新理事長は就任会見でこう述べた。
京大ではiPS細胞の知財で産学連携のしくみづくり
また、この日、理研が国立研究開発法人に移行したことについて、「国立研究開発法人としての最大のミッションは、研究成果をアウトカム(具体的な成果)として最大限効果的に社会に発信していく。社会的責任を果たすこと」とした。
STAP論文不正問題については、昨年8月に策定されてすでに始まっている「アクションプランを継承し、実効性を持って継続していく。高い規範と倫理意識の定着を図る」と述べるに止まった。野依良治前理事長からは、「理研をよろしく頼む」と引き継ぎを受けたという。
1年前の2014年4月1日には、STAP論文に2点の研究不正が認定された第1次調査委員会の最終報告会見が開かれた。300人を超える報道陣が詰めかけ、緊迫した空気の中で野依良治前理事長はじめ研究担当、コンプライアンス担当理事や調査委員会メンバーが詰問され、野依前理事長が頭を下げる映像が繰り返し流された。
打って変わって今回の松本新理事長の会見では報道陣は50名程度。就任にあたっての抱負と今後の運営方針の大枠を説明し、STAP問題に関する質問にも落ち着いた様子で答え、平穏に1時間の会見は終わった。
松本新理事長は、昨年9月まで6年間、京都大学総長を務めた。副学長時代を合わせると9年間、京都大学の改革を図ってきた。なかでも大学院改革を強力に推進したこと、また、iPS細胞の知的財産をめぐり新しい産学連携のしくみを構築した実績は高く評価されている。
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