再生医療で最先端の日本、学会がインフラ作り 医師・臨床培養士の認定制度がスタート
日本再生医療学会が、再生医療に関する医師と培養士の認定制度をスタートした。第1回の選考はすでに終了しており、認定医379名と、臨床培養士69名の認定が2015年1月1日付で発効する。
制度は再生医療を行う上でのクオリティコントロールが主眼。認定試験を実施することによって、細胞・組織の理解と正しい扱い、法・規制の理解、倫理・安全性の認識などの共通認識の徹底を図る。
当面は法の適用はなく、学会独自の認定資格という位置づけになるが、「まずは学会主導でクオリティコントロールを図ることが重要。ここで作り上げたしくみが発展していけばいい」と澤芳樹・再生医療学会副理事(大阪大学医学系研究院教授)はいう。
「再生医療法」施行で研究から治療へ
再生医療はこれまでは研究レベルであり、研究機関、事業者ごとに異なる基準を持って運営されていた。ところが、14年11月25日に施行された「再生医療法」によって、新たな医療分野として、一般的な薬物治療や外科治療、放射線治療などと同等の治療法として認められた。認定制度はこれに合わせてスタートさせた。
この認定制度導入による直接のメリットは、取得者自身にはそれほどないかもしれない。これまでは規制も基準もなかったために誰がやってもよく、熟練した培養士といっても我流であるケースが多かったという。認定試験の普及によって共通基準ができ、誰がやっても一定の水準が保てるという信用につながる。
直接患者と接触する病院ばかりでなく、再生医療の試験や製品の製造を受託する企業にとっても信用の向上というメリットがある。今後は厚生労働省や関連する企業を巻き込んで、培養技術者のキャリアデザインにつなげていく方針だ。
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