このころになると頭の中に巣くっていた恐怖心は完全消滅。逆に、楽しくて仕方がない。ふと思ったのが「オレってこれ、得意かも」だ。
最後は逆さ吊りされた状態で記念撮影。それが冒頭の写真だ。
ツアーが終わるころには、インストラクターのピート氏から「あなたが今まで一番の名優です」とほめられるほど楽しめるようになっていた。
一生に一度の体験に立ち会いたい
ちなみにピート氏がこの仕事を始めた理由は、「それまで地上のツアーガイドをしていたけど、お客さんが人生に一度するっていう経験に立ち会いたくて」。そう、確かにこれは「一生に一度」の経験だ。
ピート氏に「屋根の上まで登ってきたけど、そこで怖くなってキャンセルしてしまう人はいないんですか」と質問すると、「尻込みする人はそれなりにいますよ」とのこと。「でも、まわりのみんなから励まされて、思い切ってやってみる。それでやってよかったって、満足する人がほとんどですね」。
屋上から降りて、ハーネスを外してつなぎを脱いだら、ツアーは終了だ。最後にピート氏がひとこと。「今日はとてもいいツアーでした。犠牲者が1人も出なかったので」。日本ならかなりの確率で行政指導が入りそうなブラックジョークだが、筆者は好きである。
青空の下の空中通路。そこにはお化け屋敷のような「暗闇」はない。絶叫マシンのような「スピード」もない。だがそれらを凌駕するほどのスリルがあった。そのスリルの向こうには快感があった。
https://theozone.com.au/experiences/vertigo/
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