原発事故で外国人従業員が大量帰国した外食産業の動向、リンガーハットではすぐに復帰
東日本大震災ですべての産業が打撃を受けたが、中でも外国人を多く採用している外食産業の被害は大きかった。原発事故による放射能汚染を恐れた外国人従業員が大量に帰国してしまったのだ。従業員がいなければ店舗は成り立たない。
震災から3カ月経つことを機会に、外食産業の外国人労働者の動向についてまとめた。
吉野家ホールディングス傘下の牛丼店「吉野家」では、中国人留学生を中心に首都圏で800人がパート・アルバイトで働いているが、震災直後そのうち200人が失踪。近隣店舗からの応援や日本人の新規採用の増加により、かろうじて店舗運営を維持することが出来たが、一時は営業が危ぶまれる状況に陥った。
いなくなった200人は現在もほぼ戻っておらず、「新規採用でまるまる入れ替わったというイメージに近い」と同社の広報担当者は語る。
「店長・エリアマネージャーが、外国人従業員とコミュニケーションを取れている店舗は目立った失踪もなく、大丈夫だった。何も情報がない場合には恐くて帰国してしまったたのだろう。正しい情報を伝えるよう日頃からコミュニケーションを図っておくことが重要だということがわかった」(同広報担当者)。
同じ牛丼店でも松屋フーズの「松屋」は外国人従業員1000人のうち200人が失踪し、「一部の店舗では深夜の営業を取りやめた」(緑川源治社長)という。ゼンショーの「すき家」も、「外国人従業員全体の数は把握していないが、中国人中心に首都圏で3~4割が帰国した」(同社)ことを明かす。
一方、長崎ちゃんぽんの「リンガーハット」(リンガーハット)場合は、首都圏に約600人ぐらいの外国人パート・アルバイトがおり、震災後220人が国外脱出したが、すぐに戻って勤務を始めたという。