「もちもち」強し!日本人好みの食感こう変わった 近年は「サクッと」「ふあふあ」などさらに多様化

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

このように、食のオノマトペの流行から、日本人のグルメ化がいかに進んだかがわかる。早川氏の調査で、まずいイメージのある「カスカス」「ベタベタ」を食の言葉と認識しない人が増え、フワフワのバリエーションが増えた。

そして、B・M・FTの調査で、ザクザクとくちどけのよさの両方が好まれる傾向や、2つ以上の食感を楽しめる外中感覚の表現が増えている。双方に共通する近年の傾向は、より多彩で繊細な表現が増えたことだ。

表現の多様化=食の複雑化?

それはもちろん、多彩な食感を楽しめるように、食べ物がより複雑に作られるようになったことが原因だろう。コンビニスイーツでも、ザクザク、フワフワ、トロリといったいくつもの食感が含まれた食品がめずらしくない。

だからこそ、その反動として、ドーナツやハンバーグといったシンプルな食べ物が流行するのかもしれない。しかしドーナツもハンバーグも、トッピングで複雑さをプラスはしている。

大橋氏がこの5年は成熟している、と言ったことが気になる。早川氏の2度目の調査は5年前なので、令和時代の食のオノマトペについては不明だ。

グルメブームが始まったのは、1970年代の終わり頃。1980~1990年代にはさまざまな外国料理がはやり、21世紀になると漫画やドラマなどで食に重点を置く作品が急増した。

テレビではほぼ1日中、どこかのチャンネルで食の情報を伝える。SNSでも料理の写真や動画を投稿する人は多い。食の情報に取り囲まれ、食がより高度に進化する毎日に、私たちはそろそろ疲れてきたのかもしれない。

阿古 真理 作家・生活史研究家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事