消費量「世界一の国」が愛する"緑のワイン"の正体 地元では「赤い」緑をコーヒー代わりに楽しむ

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1つは、ポルトガル第2の都市、ポルト周辺の世界遺産「アルト・ドウロ・ワイン生産地域」のブドウで作られたワインであることだ。

「ああ、フランスのシャンパンと同じね」と思われた人は大正解。ポートワインも「原産地統制呼称制度」を採用している。つまり「アルト・ドウロ」で規定どおりに作られたワインでなければ、いくら同様の製法と味わいでも、ポートワインと呼ぶことは許されない。フランスの「シャンパーニュ地方」で作られた発泡性のワイン以外を「シャンパーニュ」や「シャンパン」と呼んではいけないのと同じである。

ちなみに、世界で初めて原産地統制呼称制度を採用したワインが、このポートワイン。1756年のことだ。

アルト・ドウロ・ワイン生産地域を訪れた人はみな、山の斜面を這うように築き上げられた見渡す限りのブドウの段々畑に感嘆する。

なかには、この砂漠のように乾燥した、片岩石の極端にやせた土壌が「なぜポートワインにとって譲れない土地なのだろうか」と疑問を持つ人もいるかもしれない。それは、この過酷な環境こそが、ポート造りに欠かせない果皮が厚く、小ぶりで、果汁の濃縮されたブドウを生み出すからである。

ポートワインの名前の由来は?

ではなぜ、アルト・ドウロ地域で生産されるワインをポートワインと呼ぶのだろうか。

ポートの名前が付いたのは、このワインがフランス・ボルドーに代わる人気ワインとして、イギリスへと大量に出荷されるようになった18世紀ごろだという。

そもそも、ポートワインはアルト・ドウロ地域で完成するわけではない。秋にアルト・ドウロで作られたワインは、冬を越したあと、温暖湿潤で寒暖差の少ない河口の街、ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアへ運ばれ、熟成、瓶詰めされる。

ワイン商人たちは、春に対岸の港町「ポルト(ポルトガル語で港の意味)」へやってきて、できあがったアルト・ドウロのワインを端から次々とイギリスへと出荷した。その際に、英語でもなじみのある出荷地を冠した「ポルト(英語ではポート)ワイン」の呼び名が広まったのだ。

かつては小舟を使ってドウロ川を下り、ポートワインを運搬していた(写真:筆者撮影)
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