「広瀬香美」デビュー30周年、訪れた予想外の転機 「本気で向き合った」番組で見せた"別の顔"

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かつて栗原さんが手掛けた『¥マネーの虎』は、志願者に対して「虎」と呼ばれる社長たちが現金を投資する伝説的なリアリティー番組だった。広瀬さんと歌姫候補たちが1対1で対峙する構図は、まさに音楽版『¥マネーの虎』を彷彿とさせる。もう一度そんな熱い番組をつくりたいと考えた栗原さんは言う。

(撮影:谷川真紀子)

「オーディションが進むたびに広瀬さんがやつれていってるんじゃないかと思っていました。それだけ本気で歌姫候補に向き合われていたのだと思います。その姿は、『歌姫の虎』そのもの。

この企画は、歌手が歌手を選ぶオーディションではなく、音楽プロデューサーであり、社長である広瀬さんが歌姫を生み出すところに独自性があります。世の中にアーティストはたくさん存在するけれど、これから歌姫をどう売り出していくかを考えられる『社長の顔』を持った広瀬さんにしかできない企画だったと思っています」

広瀬さんが「歌手に必要なものは心技体」と言うように、武道さながらの、音楽家と音楽家、本気と本気のぶつかり合いを目の当たりにしてきた栗原さんは、ギリギリまで粘り、最後の最後に番組タイトルを『歌姫ファイトクラブ!!』に決定したという。

ダイヤの原石を見つける

応募総数は、1457件。動画審査を通過して1stステージに進んだ42名には、広瀬さんの顔を型取ったリアルなマスクが手渡された。広瀬さんは、あえて歌姫候補たちの顔を隠し、華やかなビジュアルに惑わされることなく、「歌声」にすべての意識を集中させた。

広瀬香美さん本人の顔から型どったリアルな「マスク」を着用した歌姫候補/Huluで全話独占配信中(写真:Hulu)

「私にはなく、新しくて、『みんなに好きになってもらえる』『元気を届けてくれる』『心を癒やしてくれる』、そんな力を持っていると確信できる声を残そうと思っていました」

しかし、この世の中、歌がうまい人は五万といる。そんな中、新時代の歌姫を選び抜くに当たって、広瀬さんが一切の妥協を許さなかったポイントがある。

「どんなに歌が上手でも、誰かのまねをしている人は選びませんでした。今回は、まだゴツゴツしていても、素の歌声だったり、しゃべり声だったり、直感でこの歌声が世の中に必要だと思せてくれた人を選びました。私にはない、誰のものでもない、ダイヤの原石のような歌声を見つけた自信があります」

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