辞めないと思っていた「部下が退職」まさかの原因 評価面談は部下のモチベーションを上げる場だ

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■善悪や正邪で動く「レシーブタイプ」

「人の役に立ちたい」という思いが強く、他者との戦いよりも協調を大切にする人はレシーブタイプだ。「いつも周囲を気づかってくれて感謝してるよ」といった言葉でモチベーションが上がる一方で、「1位を目指そう!」といった激励は逆効果。「別に1位になりたくて成長しているわけじゃないし……」とモヤモヤさせてしまうだけだ。

■真偽や因果で動く「シンキングタイプ」

「さまざまな知識を得たい」「複雑なものごとを究明したい」というように、論理的志向が強い人はシンキングタイプだ。このタイプの部下の背中を押すためには、「なぜその仕事をしてほしいのか?」「どんな力に期待しているのか?」などを整然と伝えることが重要だ。

「この仕事を通して○○の能力が高まったから、△△ができるようになったね」というように、能力向上への評価はモチベーションアップにつながりやすい。

■美醜や好嫌で動く「フィーリングタイプ」

「新しいものを生み出したい」「自分の個性を理解されたい」と考える人はフィーリングタイプだ。「これを実現できたらおもしろいよね」「このアイデアって斬新だよね」など、感覚に訴えるのが有効だ。逆に、ルールで縛り、手順どおりに仕事をすることばかりを評価しているとモチベーションが低下してしまう。

決めつけが評価者の目を曇らせる

上述した4つのモードも4つのモチベーションタイプも、場合や状況によって変化することがある。

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例えば、普段はレシーブタイプで縁の下の力持ちとしてがんばることに喜びを感じている部下が、どうしても勝ちにこだわりたい状況になったとき、アタックタイプに変わることもある。

そのため、「この人はこういうタイプだから」と決めつけるのは避けたい。普段から、部下の「今」の状態を把握するとともに、モードやモチベーションタイプの変化に気づけるコミュニケーションを行うことが大事だ。

評価を伝えるタイミングは、部下が気持ちを新たにできる重要な節目である。このときの「伝え方」次第で、部下の成長意欲やモチベーションは大きく変わってくる。部下のモチベーションを最大化する伝え方に向けて、まずは部下のモードやモチベーションタイプを把握することから始めてほしい。

川内 正直 リンクアンドモチベーション 常務執行役員

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かわうち まさなお / Masanao Kawauchi

組織人事領域のコンサルタント・プロジェクトマネジャーとして顧客企業の変革を成功に導く傍ら、新拠点立上げ、新規事業「モチベーションクラウド」の拡大などを牽引。2010年、同社執行役員に当時最年少で着任。グループ会社の取締役を経て、2018年、同社取締役に就任。組織開発、人材開発などのテーマで経営者やビジネスパーソン向けセミナー・講演や各種メディアへの寄稿多数。著書に『マネジャーのための人事評価で最高のチームをつくる方法』(翔泳社) 。

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