主役は目の前にあるデバイスではなく、使う人とそのディスプレイに表示されるアプリやコンテンツである。そんなメッセージが伝わってくるようだった。そこに存在しないことを美徳とする、不在のデザインを目指しているように感じられる。
しかし腕時計というアイテムは、そうあるべきではない。どんな腕時計をしているのかが、選択であり、主張であるならば、腕時計をしているのかしていないのか分からない、では済まされない。しっかりと存在させ、認識されなければならないのだ。
Apple Watchは角が落とされて柔らかく「ぷくり」と膨れたようなデザイン。腕に着けてもしっかりと存在感があるデザインだ。その形と存在感は、アップルに参画したアイヴの盟友でデザイナーのマーク・ニューソンのテイストを感じさせる。
柔らかそうに見えるが、金属とガラスで構成されたケース。形と素材にギャップを覚え、ついつい凝視してしまう。ステンレススチールのケースではより、違和感が強く、目が行く存在と言えるだろう。
ただ、スタイルを選ぶ楽しみはない。同じメーカーの時計にも、様々なデザインがあるのが常だからだ。
アップルも全てを1つのデザインで片付けてしまうのではなく、例えばダイバーズウォッチや、クロノグラフなど、機能とデザインとサイズをイメージさせる「スタイル」を充実させていくべきではないか、と考えている。
特に、文字盤の種類は、もう少し頑張った方が良いと思われる。同じアナログ時計の針についても、色が変えられるだけでなく、ペンシル型、リーフ型、スペード型などが選べるようにすると良いだろう。
こちらはソフトウェア的に解決できるため、近い将来の機能追加に期待できる。
iPhone最高の「サブディスプレイ」
Apple Watchには、有機ELのRetinaディスプレイが搭載された。細かいメモリを備えたクロノグラフをデジタルで再現しても、小さな文字盤までくっきりと映し出す。またかつてiPhone 4に搭載されていたものと同等のプロセッサを備えたS1を搭載する。
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