コロナ禍で約110万人も参入「ゴルフ」活況の裏側 10年で100万人の新規ゴルファー創出は可能か?

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この3つが相まっていけば、会員数は伸ばしていけるのだろう。俳優の鈴木福さんをチーフ・インドアゴルフ・オフィサー(CIO)に起用し、初心者からの100切りを目指す様子をYouTubeで発信しているのもハードルを低くする一策だろう。

レッスンを受ける鈴木福さん(写真:ステップゴルフ)

「100万人創出計画」への課題は、店舗数の増加。そのため、今後は「各都道府県に代理店を置きたい。フランチャイズや出資のみとか、その地方に根付いた人とのタイアップなどを考えていきたい。フィットネスクラブの空きスペースを利用させてもらうコラボとかも考えています」と言う。フットネスクラブ、スポーツジムは全国各地にある。平均5打席の小規模インドアであれば、ちょっとした空きスペースでも出店は可能だろう。

そうなると店長兼コーチも1000人必要になるため、育成を急がないといけない。そうしたことが早期にクリアされていけば「10年で100万人の新規ゴルファー創出」は単なるアドバルーンではなくなりそうだ。

「エンジョイ・ゴルファーを増やしたい」

初心者をターゲットにしているので、いわゆる「プロゴルファー」ではないコーチに教わるのが物足りない人もいるかもしれない。「ありがとうございます。100を切れましたので退会します」というような例もあるそうだ。

このため、ネットの的に向かって打つだけでは納得できない人に、シミュレーターを導入した「ステップゴルフ・プレミアム」の開設や、ゴルフ場デビューを含めてゴルフ場でのラウンドレッスンも行い、コア層の初心者から中級者レベルまで対応できる業態にしている。

(左)打席は5席程度、(右)シミュレーターを導入した「ステップゴルフ・プレミアム」(写真:ステップゴルフ)

「ゴルフを楽しみたいという人、エンジョイ・ゴルファーを増やしたい」と榎本代表はいう。コロナ禍で、ゴルフをする人が増えたのはゴルフ界にとってはうれしい誤算とも言えたが、「潜在的にゴルフを始めたい人はいる」という証拠にもなった。

エンジョイ・ゴルファーが生まれて、友人を誘って新規ゴルファーが増える。そのためにこうしたゴルフスクールがサポートする。いい連鎖が起きればいいのだが。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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