それならば、と久美さんはカウンセラーではなく会員を装って自ら敏弘さんにお見合いを申し込んだ。倍以上の年収格差に及び腰の敏弘さんに対しては、「この会員さんは誇りを持って働いている男性を探しています。年収の差は気にしていません」と説得。自分のことなのだから正確かつ情熱的にアピールできる。若干反則技だが、婚活における究極の裏技とも言えるだろう。
カウンセラーではなく会員を装ってアタック!
「もちろん、2回目に会ったときに種明かしをしました。いつも仕事でピリピリしている私とは違って、のほほんと明るい主人に惹かれたのです」
そんな敏弘さんも前の結婚生活では苦労をしている。30代半ばまで独身を謳歌していたという敏弘さんは、一緒に遊んでいた同期が結婚していくのを目の当たりにして焦り、警察内の結婚相談所に入会した。警察官およびその紹介がある人だけが登録できるもので、現役の警察官は無料。そこでお見合いをした3歳下の真由子さん(仮名)の父親も警察OBである。
「前の妻はちょっとワガママな性格でしたが、私はお義父さんのことが好きでした。亡くなってしまったときはショックでしたね……。妻や義母よりも私のほうが墓参りをしていると思います」
東京郊外に一軒家を買った敏弘さん。真由子さんとの間には一人息子がいる。しかし、義父が他界してから同居を始めた義母との折り合いは最初から悪かった。
「一人では寂しいだろうと思って呼び寄せたのが間違いでした。妻以上に我が強い人で、私には何の配慮もしてくれません。義母の影響で妻もよりワガママになってしまい……。そんな家には帰りたくないので、仕事が終わっても車の中で過ごしたりしていました。あるとき限界を感じて、『この家にはオレの居場所がないよ。3人でアパートを借りて出よう』と泣いて訴えたのです。妻からは『なんでそんな無駄なお金を使わなくちゃいけないの』と言われました」
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