耳を疲れさせない「イヤホンの使い方と選び方」 会議、動画視聴、ゲーム…身近な「イヤホン難聴」

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たとえば、お酒を飲みすぎたり、甘いものを食べすぎたりする人は、血流が悪くなりやすくなります。耳周辺の血流の悪化は、耳を老化させる大きな要因になります。このような生活習慣を長年続けると、確実に耳の老化は進みます。

ですので、もしひとつでもチェックがついたら、遠からず「難聴」や「耳鳴り」に苦しむことになる可能性が高いといえるでしょう。

耳を酷使する職業の人は気をつけて

「難聴かもしれない」

「耳鳴りがひどい」

「病院に行っても改善しない」

「日常生活に支障をきたすほどではないけれど、耳が遠くなってきて不安だ」

これらの症状は、いずれも「耳の老化」が原因です。医学的には「加齢性難聴」といわれています。加齢性難聴は、歳とともに聞こえにくくなるもので、少しずつ進行していきます。そして、人によって進み方は違います。

耳を酷使する職業の人は、どうしても難聴になりやすくなります。楽器を演奏する音楽家も、例外ではありません。音に集中するし、何時間も練習しますから、これはもうしかたないのです。バイオリンは耳のすぐそばで鳴らすせいで、バイオリニストも難聴になりやすいといわれます。エレキギターは高音が多いので「高音の難聴」になりやすいといわれます。ドラムを叩く人は、まんべんなく聴力が下がります。

道路工事、飛行機の整備、機械工作などの仕事で、長い期間、やかましい音にさらされて聴力が低下した「騒音性難聴」は治療が難しくなります。騒音にさらされていたのが半年か1年ぐらいであれば回復もあり得るのですが、長期間になるとリセットしにくく難しくなります。

62歳の私の患者さんがまさにそうでした。彼は若い頃から難聴が出ていて、私のクリニックに来たときは重度の難聴になっていました。長年、工事現場で働いていたことが原因です。彼は日常生活に支障がないレベルまで回復することができましたが、それでも治療に4カ月かかりました。

工場や工事現場で仕事をする人は、できるだけ耳栓をしてください。死んだ神経を回復させられるかどうかは、細胞年齢によります。若い人はまだいいのですが、騒音曝露が30代、40代、50代とずっと続いていたとすると、回復は本当に難しくなります。

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