サッカーの神様に試されたJリーグチェアマン 元リクルートのサッカー素人がJリーグを経営

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この通報を受けたときに彼が考えたのは、もしJリーグで八百長が起きていたとすると、開幕1週間にしてJリーグはそれ以降の公式戦をすべて中断しなければならないということだ。もちろん、Jリーグそのものの存続にかかわる大問題だとも感じていた。

逃げるか、隠すか、時間をかけるか、専門家に委ねるか。

さまざまな思いが去来する。

天日のものすべて開示する

しかし彼は、両チームの社長を即座に呼び、両チームのすべての選手、指導者、運営関係者、レフェリーなどに対して弁護士立会いのもと徹底して事情聴取を行った。プロのテクニカルスタッフにも試合映像を観てもらい意図的な敗戦行為がなかったかどうかを審査した。

調査範囲は広いので途中でメディアに情報が流出するリスクもある。そうなれば日本中を巻き込んだ大問題になるのは明白だ。

しかし、作業は止めることなく進め、最終的には、問題となる八百長行為がなかったことを確認し、EWS側とも合意した。そして問題の存在や事実関係を自らつまびらかにすることを決めて会見に挑み、天日のもとにすべてを開示した。

人種差別的な垂れ幕事件と八百長疑惑が同時に勃発した1週間は混乱を極めた。着任早々でもあり、名前も顔も十分に把握していないJリーグの職員と1時間おきに交互の問題を議論していた。頭の中が混乱していた彼は、無観客試合を裁定した記者会見で不思議な発言をしている。

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