サッカーの神様に試されたJリーグチェアマン 元リクルートのサッカー素人がJリーグを経営

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クラブの管理責任を重く見て、またFIFAのガイドラインや過去の累犯などの諸事情を勘案し、5日後の13日に新任チェアマンは浦和レッズの次のホームゲーム(第4節清水エスパルス戦)を「無観客試合」とする裁定を会見で発表した。事案を認識してから中4日で裁定を公表したのだ。

プロスポーツの裁定として無観客試合は国内初でもあり各メディアは大きな問題として取り上げた。当時の菅義偉内閣官房長官が人権の尊重の観点からも遺憾の意の表明をしたほどだ。

新型コロナウイルス禍での「無観客試合」が議論される6年前の出来事だ。日本のスポーツ史の中で、制裁処分として行われた第4節は日本中に報道されることとなった。新任チェアマンは自分で発表しながらその反響の大きさに戸惑っているような感じでもあった。

同時に八百長疑惑が勃発

まさに、同じ日となる3月8日のJ1リーグ第2節において別の大きな問題の可能性がさく裂していた。浦和レッズの差別的事案に翻弄されているまさに同じタイミングに、「サンフレッチェ広島対川崎フロンターレの試合において八百長行為があったのではないか」との指摘を受けたのだ。

その指摘は、日本サッカー協会が提携するFIFA直轄の八百長監視機関であるEWS(Early Warning System)から受けたものだ。統計的に見て異常と思われるオッズの変動が海外であったと言うのだ。

新任チェアマンは、海外のベッティング組織がJリーグの試合を賭けの対象としていることすら知らない状況だった。

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