30年堂々巡り?女性管理職が増えないワケ 繰り返される「過去のトラウマ」

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当方が取材した、調査会社勤務のSさん(既婚・女性)は育児が一段落するまで時短勤務で仕事をしました。現在は20代の時期と同じように残業もする通常勤務に戻しましたが、

「そもそも時短勤務を認めてもらえなければ、会社を辞めていました」

と語ってくれました。ちなみにSさんは40歳にして管理職になり、若手部下のマネジメントを担当。社内では頼れる姉さんと呼ばれ、貴重な存在となっています。

固辞するのは、職場環境にも要因がある

一方、広告代理店で営業職にあるDさん(既婚・女性)。社内で優秀な成績を収めており、上司から管理職への昇進を打診されましたが、固辞しました。

「将来的に出産・育児をすることを考えれば、勤務している職場で管理職を続けることは不可能です。だから、管理職になることをあきらめました」

と回答してくれました。ちなみに、もし残業ゼロの職場であればどう回答したか尋ねてみたところ、「それなら管理職になっていた」と本音を教えてくれました。

管理職になれないのは女性自身に理由があるだけでなく、職場環境にも大きな要因があったのです。女性の活躍推進と同様に、日本は長時間労働という問題を抱えています。勤務時間の長さが解消できないために、女性管理職が増えないという面があるのです。「管理職でも残業ゼロ」が実現できれば、女性を管理職登用できる可能性は、飛躍的に高まるかもしれません。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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