ところが、それからほんの2年以内で大半の女性管理職から「自分には無理」「気軽に仕事がしたい」と、一般社員への職種変更や退職の要望が出て、3年後には女性管理職はゼロに。
中には、一般社員として社内で貴重な人材が、管理職への登用をきっかけに退職してしまった……と後悔の念を口にする役員もいたようです。このような結果になれば、
「女性の活躍推進など当社では無理」
と女性管理職の登用も当面は凍結状態になるのは、致し方ないかもしれません。
“トラウマ”から抜け出すすべはあるのか?
このように、女性登用にトラウマのある会社は意外と多いのではないでしょうか。ただ、すべての会社で女性管理職の登用は無理なのでしょうか? ここからは、女性管理職を増やすためのヒントをみなさんと考えていきたいと思います。
男性は外で仕事をし、女性は家庭を支える……などと役割分業をステレオタイプに考える時代ではなくなりました。女性たちも必ずしも家庭にいる人生を望んではいません。NTTコム リサーチによると、「いつまで働きたいか」との質問に対して、「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答した女性社員は男性と大きな差はありません。
ただ、管理職に登用されて、仕事に没頭する時期の働き方に障害があります。
そもそも、日本の女性の労働力率は「25~29歳」(77.2%)と「45~49歳」(75.7%)を左右のピークとし、「35~39歳」を底とするM字型カーブを描きます。結婚・出産期に当たる年代にがくんと低下し、育児が落ち着いた時期に再び上昇するのです。
このM字の底のタイミングこそ、管理職に登用されて、多忙な仕事を任されるタイミングです。自分の仕事だけなら、終われば「お先に失礼します」と早めの帰社も可能。ところが管理職になれば部下の指導や会議で、勤務時間を職場の都合に合わせなければなりません。管理職の仕事自体が嫌なわけではなく、そうした働き方が物理的に不可能であるために、避ける、断るという結果になるのではないでしょうか。
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