バービー「もう芸人辞めようか」無茶を重ねた20代 30代でガス欠状態に陥った彼女を救った転機
特にお笑いに愛があってこの道に進んだわけではなかったこともあり、周りの芸人仲間と比べても「お笑い偏差値」が低い自覚はありました。それがちょっとしたコンプレックスでもあったんですね。
そのコンプレックスを解消するためにやったのが、自分の思う「芸人とはかくあるべき」という芸人像を体現してみること。
20代の頃はとにかく無茶苦茶でした。2000年代はまだ芸人の間でも「生活が苦しくても家賃の高い部屋に住め」とか「女遊びをしろ」とか、破天荒であることがもてはやされた時代。
エピソードトークのネタになるなら何をしても許されるみたいな空気がありました。
だから私も現場に入るギリギリまでお酒を飲んだり、六本木で知らない外国人の方に手当たり次第声を掛けまくったり、そういう武勇伝の数が芸人としての肥やしになると思って、自分から無茶苦茶なことをやりまくっていました。
実際、それがプラスになった面もあるんです。
当時、そういう武勇伝を売りにしている女芸人は少なかったからテレビに出た時もイジってもらいやすかったし。いいキャラ付けになったのは事実です。
本当の私って何? 無茶のしすぎでガス欠状態に
でも、心のどこかで寂しさみたいなものも抱えていて。本当の私はそういう人間じゃないのにな……というモヤモヤが常に心に膜を張っていた。
芸人・バービーといえば下ネタOKで派手な服装の自信満々キャラ。
でも、本名の「笹森花菜」はシャイで人付き合いが苦手な内気キャラ。
こうやったらウケるんだろうなというのを察して自らつくり上げたキャラクターとは言え、ずっとこれをやり続けるんだろうかと、世間から求められているバービー像に応え続けることに不安を感じていました。
たぶん無理しすぎて疲れていたんでしょうね。
当時、私はよく海外旅行をしていたんですけど、あれも今思えば仕事の反動というか、誰も自分のことを知らないところへ行きたかったのかもしれない。
それから30代に入った私は、気付いたらガス欠状態で、「芸人を辞めようか」とさえよく考えるようになっていました。