雨上がりの解散が「リアリティショー」化した理由 破天荒な芸人より「モラリスト」が選ばれる時代
お笑いコンビ・雨上がり決死隊が8月17日に解散を発表。それを受けて同日、『アメトーーク特別編 雨上がり決死隊 解散報告会』がネットで配信された。
番組というかたちをとってこうした類いの報告がおこなわれるケースは、あまり記憶にない。そこには、いまの時代ならではの芸人のあり方も垣間見える。今回は、2人の解散劇から「芸人といまの世の中の関係」を考えてみよう。
まずは「報告会」短く振り返り
配信動画は、MC席に雨上がり決死隊の2人が座り、その対面に東野幸治、出川哲朗、ケンドーコバヤシ、狩野英孝、そしてFUJIWARAが座るという、ふだんの『アメトーーク!』の番組そのままの形式で進められた。内容的にも、コンビ解散というシリアスな話がメインであるにもかかわらず、随所に笑いを盛り込んだものになっていた。
約1時間50分にわたって2人からの解散の報告と出演者全員でのやり取りがおこなわれるなか、とりわけ印象的だったのは、「ホトちゃん」こと蛍原徹からにじみ出る決意の固さだったように思う。それは、FUJIWARA・原西孝幸が評したように、「むちゃくちゃ頑固」という人柄の表れでもあっただろう。
雨上がり決死隊の2人が番組で語ったところでは、解散を言い出したのは蛍原のほうだった。2019年6月に宮迫博之の闇営業が発覚してからの一連の騒動の結果、コンビでの活動が休止状態になってしまう。だがそれでも、蛍原徹は2人が揃って活動できる時を粘り強く待つつもりだった。ところが、2020年1月に宮迫が単独でYouTubeでの活動を開始。そのタイミングや経緯に蛍原は、気持ちのずれを感じるようになった。後になって宮迫も自分の過ちを全面的に認めたが、結局一度できた溝は埋まらなかった。
もちろん蛍原も、ただ宮迫を突き放していたわけではない。若手時代からの仲間で、解散がいまだに信じられないと号泣するFUJIWARAの藤本敏史(フジモン)に対し、蛍原がふと漏らした「フジモンみたいに1年半泣いてたんで」という一言は、彼がずっと抱えていた人知れぬ苦悩の重さを感じさせるものだった。
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