「インフレ時代に限られた資産を守る」現実的方法 銀行にただ預けているだけでは資産が目減りする

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日本にも高配当銘柄はたくさんあるが、海外にも高配当銘柄が数多く存在する。予想配当利回りのランキングなどを参考に直接投資するのもいいし、高配当銘柄を集めた投資信託などもある。大切なのは、「ドル建て」であることだ。たとえば、「エクイティ・コモンウェルス(ニューヨーク市場、EQC、10月2日現在)の予想配当利回りは23.13%もある。

Step3:普遍的価値があり流動性のある「モノ」に投資しよう

インフレの度合いにもよるが、すさまじいインフレに備えることも大切だ。あくまでも金銭的に余裕のある人しかできない方法だが、絵画などの美術品や高級車、ジュエリー、さまざまなコレクションなどなど……。その際、重要なのはいつでも売買できる「流動性」の高いモノを選ぶことだ。できれば、国内外を問わずニーズのある商品がいい。

最近は世界的に「金余り」のために、スポーツ選手のトレーディングカードやポケモンカードといった、以前では考えられないようなものも資産形成のツールになる。アニメの原画なども高い価格が付くことがある。

また、ブロックチェーン技術を使った「NFT(非代替性トークン)」の投資商品もある。Twitterの最初のつぶやきに3億円の価格が付いたことで話題になった。もっとも、その後NFTの価格は崩壊したものの、こうした新しい投資商品に目をつけておくことも大切だ。

インフレの時代というのは、どうしてもローンを組んで投資したり、不動産を購入したりしがちだが、できれば高い金利でのローンは避けたいものだ。バブル崩壊以降、日本人の多くが高い住宅をローンで購入してしまったために、30年前後の長い期間を高い返済に費やされてしまった。

たとえば、1000万円の住宅ローンを年4~5%の金利で組めば、返済総額は2000万円程度になってしまう。住宅購入も含めて、インフレ時代には「高金利」に注意すべきだろう。

いずれにしても、インフレ時代の資産運用は目まぐるしく投資環境や金融市場のトレンドが変化する。金融市場をこまめにウォッチしながら、その時々の変化に対応することが大切だろう。また、どんな時代になっても自分の給料は上がらない、と思う人は転職を考えるべきだ。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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