「インフレ時代に限られた資産を守る」現実的方法 銀行にただ預けているだけでは資産が目減りする
では、我々はどうすればインフレに対応できるのだろうか。日本の経済成長率(GDP)が15年ぶりに高いレベルになったと報道されたが、GDPの伸びはインフレの兆候でもある。やはり、日本にも確実にインフレの波が押し寄せていると言っていいだろう。
問題は、インフレに見合うだけの所得の伸びがあるかどうかだが、日本の場合、ここにやや問題がある。かつては日本でも、高度経済成長と呼ばれるすさまじいインフレの時代があったが、そのときにはサラリーマンや公務員の給料もすさまじい勢いで上昇した。経済成長率に見合うだけの賃金上昇(ベースアップ)を日本政府や日本企業も積極的に実行した。そのおかげでインフレにもかかわらず、日本人全体の暮らしはよくなったわけだ。
そんな当時と現在の日本が大きく異なるのは、政府の莫大な財政赤字の存在だ。高度経済成長時代の日本には、ほとんど財政赤字がなかった。それが今では日本銀行が日本の国債を半分以上保有している。例えば、公務員の給与もそう簡単に引き上げることができない。財政赤字が限界に近付いている、ということだ。
所得間格差が拡大していく未来
これまで日本経済は政府主導で牽引されてきたとよく言われるが、今後企業は独自の成長力で、社員の賃金を上げるために「稼ぐ力」を高めていくしかない。おそらく、企業間格差や個人の所得間格差が拡大していくことは間違いないだろう。
最悪のケースでは、所得が増えないにもかかわらずインフレが進行し、貧困にあえぐ人々が増えていく可能性が高い。そんな状況下で、さらなるインフレにも対応しなければならない……。そんな時代を我々は生きていることを認識すべきだろう。
では、どうすれば、インフレに負けない資産防衛をすることができるのだろうか。一口で言えば、資産を守るのではなく、積極的な運用で資産を減らさない努力をしなければならないということだ。
これまでのように、銀行にただ預けておいたのでは年に2~3%、10年で2割から3割の資産が減少していくことになる。老後資金や教育資金などでお金を貯めても、どんどん目減りしていく可能性も否定できない。その資金を使う段階になって、その金額ではとても足りない、といった現実に直面する可能性があるということだ。
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