男にも「女子力」が求められる時代になった 吉田正樹×太田彩子「女性の仕事観」<下>

✎ 1〜 ✎ 57 ✎ 58 ✎ 59 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
吉田正樹(よしだ・まさき)1959年生まれ。1983年フジテレビ入社。ディレクター、プロデューサーとし て担当した番組は『夢で逢えたら』『笑う犬 の生活-YARANEVA!』『トリビアの泉』『爆笑レッドカーペット』など。2009年に退職し吉田正樹事務所を設立、およびワタナベエンターテインメ ント会長に就任。現在、KLab社外取締役、ギガ・メディア社外取締役、SBIホールディングス取締役を務める。

吉田僕が講義中のつぶやきを推奨したTwitterが、まさにそうです。年齢や立場の区別なく、誰でも僕の正面に回って直接言葉を浴びせられる。たくさん飛んでくるわけですよ。ちっちゃな矢とか、矢ですらない割り箸みたいなものが、力なくパスパスと(笑)。

太田私の講義は女子力がテーマだったのですが、受講者の3分の1が男子学生でした。その男子学生の半分くらいが「自分よりパートナーの稼ぎが上でもいい」と言い、ほとんどの男子学生が、「結婚したら育児も積極的にやる」と言っていました。ここまで男女の役割がボーダレスになっているのは、びっくりしましたね。

吉田イクメンが増えているのは、男が「育児をやらないで足るような外の仕事」をしてないからだと思うんですよ。

太田どういう意味ですか?

吉田彼らに、「育児をまったくやらなくても、補ってあまりあるものを俺は家庭にもたらしているんだ」という自負心がないということです。そういう闘争を放棄してうずくまっているのが、今の男たちです。

太田正面に回らずに、手をつなぐ感じですかね。

夫婦円満の秘訣は友人をシェアすること

吉田家庭の話で言うと、宇野常寛さんが講義で怖いことを言っていました。マイホームパパというのはもはや存在しない。家へ帰ってほっとするとか、家族の幸せがいちばんという生き方も存在しないと。なぜなら、宇野さんの言葉を借りると、今は「常時接続」の社会だから。

FacebookをはじめとするSNSで、パートナーの友人も、元カレも元カノも、全部わかっちゃう。従来のように「夫と妻」「仕事と家」を分けることができない。したがって、「家に帰ってほっとする」もない。

太田へえ。そのときの学生さんたちの反応は?

吉田ゾッとしてましたよ(笑)。でも、結婚にいい印象がないのは、考えてみれば当たり前のこと。結婚に逃避するなんておかしいじゃんということを、若い世代は男女ともに感じていますから。

太田世界各国の幸福度調査を見ても、結婚している人のほうが幸福度は高いのですが……。それも意味付けが変わってきてるのでしょうかね。

吉田ところで太田さん、夫の友達と仲良くできますか?

太田一瞬、考えてしまいます(笑)。

吉田これからの時代は、夫婦がお互いの友達をシェアできるほうが、家庭が幸せになると思います。昔は職場と地域が完全にセパレートされていましたから、妻が夫の知り合いに会うと、「課長さんですか。うちの旦那がお世話になっております」なんて他人行儀に挨拶していました。でも今は、なんなら相手の知り合いにSNSで直接触れ合えてしまえます。

太田すごい世界ですよね。

次ページ見た目だけではない女子力
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事