吉田:僕が講義中のつぶやきを推奨したTwitterが、まさにそうです。年齢や立場の区別なく、誰でも僕の正面に回って直接言葉を浴びせられる。たくさん飛んでくるわけですよ。ちっちゃな矢とか、矢ですらない割り箸みたいなものが、力なくパスパスと(笑)。
太田:私の講義は女子力がテーマだったのですが、受講者の3分の1が男子学生でした。その男子学生の半分くらいが「自分よりパートナーの稼ぎが上でもいい」と言い、ほとんどの男子学生が、「結婚したら育児も積極的にやる」と言っていました。ここまで男女の役割がボーダレスになっているのは、びっくりしましたね。
吉田:イクメンが増えているのは、男が「育児をやらないで足るような外の仕事」をしてないからだと思うんですよ。
太田:どういう意味ですか?
吉田:彼らに、「育児をまったくやらなくても、補ってあまりあるものを俺は家庭にもたらしているんだ」という自負心がないということです。そういう闘争を放棄してうずくまっているのが、今の男たちです。
太田:正面に回らずに、手をつなぐ感じですかね。
夫婦円満の秘訣は友人をシェアすること
吉田:家庭の話で言うと、宇野常寛さんが講義で怖いことを言っていました。マイホームパパというのはもはや存在しない。家へ帰ってほっとするとか、家族の幸せがいちばんという生き方も存在しないと。なぜなら、宇野さんの言葉を借りると、今は「常時接続」の社会だから。
FacebookをはじめとするSNSで、パートナーの友人も、元カレも元カノも、全部わかっちゃう。従来のように「夫と妻」「仕事と家」を分けることができない。したがって、「家に帰ってほっとする」もない。
太田:へえ。そのときの学生さんたちの反応は?
吉田:ゾッとしてましたよ(笑)。でも、結婚にいい印象がないのは、考えてみれば当たり前のこと。結婚に逃避するなんておかしいじゃんということを、若い世代は男女ともに感じていますから。
太田:世界各国の幸福度調査を見ても、結婚している人のほうが幸福度は高いのですが……。それも意味付けが変わってきてるのでしょうかね。
吉田:ところで太田さん、夫の友達と仲良くできますか?
太田:一瞬、考えてしまいます(笑)。
吉田:これからの時代は、夫婦がお互いの友達をシェアできるほうが、家庭が幸せになると思います。昔は職場と地域が完全にセパレートされていましたから、妻が夫の知り合いに会うと、「課長さんですか。うちの旦那がお世話になっております」なんて他人行儀に挨拶していました。でも今は、なんなら相手の知り合いにSNSで直接触れ合えてしまえます。
太田:すごい世界ですよね。
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