吉田:夫の知り合いが単独で存在するなんてありえないわけです。つねに自分が相手をわかる状態であり、かつわかられている状態なので、いろいろなことを隠せない。だから、夫婦それぞれの友達をシェアできたほうが自然だし、関係は円滑になります。
太田:うーん……。
吉田:夫婦だけじゃありません。今までは、自分だけの世界に浸ってほっとしたり、他者に対して「ここから先は入らないで」って言えました。でもこれからは、大通りに裸で暮らしているようなもの。常に誰かから監視され、われわれも周りの人も全部見えてしまう。
太田:なんだか息苦しいような気がします。
「女子力」の大いなる可能性
吉田:そこを解決するのがコミュニケーションですよ。そして、コミュニケーションは女性のほうがうまい。共同体をちゃんと作れますから。男って、会社を辞めたら遊ぶ人がいなくなっちゃうでしょう。だから世の中におけるコミュニケーションの価値が上がれば上がるほど、女性は生きていきやすくなる。人間と人間との距離感をうまくコントロールするのも、女子力ですからね。
太田:これからは微妙な人間関係を作れるとか、うまくバランスをとるとかいったスキルがますます求められると。
吉田:ええ。ひとつ象徴的な話として、女性は友達同士でも仕事ができますが、男性は必ず上司と部下を作る。猿のマウンティングみたいなものです。同輩の友達同士では仕事ができないんです。
太田:そういえば、男性の経営者同士がたもとを分かつことがよくありますね。
吉田:ただ若い世代だと、男性でもわりに女子力を取り入れていますけどね。肩書はたまたまお前が社長で俺が副社長だけど、上も下もない――って状態を作れる。ただし、ある発展の段階を超えると、「でも俺の持ち株の方が多い」と言い出す(笑)。そういう意味で、男のほうが滅びやすいというか、正面に回ってチャンバラして、友達を敵に回しやすいのです。
太田:私の思う女子力は、女子だけじゃ開花しないものなんです。10代の女子力って男性にモテたいとか、おしゃれしたいとか、必ず異性を意識してるじゃないですか。働く女性も同じ。「私はこういうホスピタリティで顧客から契約を取っていく」というマインドは女子力ですが、これは世界が女性だけだったら成立し得ないスキル。だからこそ、男女がお互いの強みを掛け算しながら共生していくことが大事です。
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