吉田:そうは言っても、会社も社会もまだまだ男性の論理で動いています。だから女子力を考えるというのは、今のメインストリームじゃないもの、現状のやり方にそぐわない価値観をちゃんと認めることと同義だと思いますね。セクシャルマイノリティのことを考えるのと同じ。
太田:前回、女性のキャリア観は「横展開」という話をされていましたよね。とにかく「階段を上がりたい」男性と違って。
吉田:横展開とはつまり多様性です。対して男性はなにごとも重層的に積み重ねていく。今までつきあってきた女の話をするのも、たいてい男です(笑)。
太田:確かに女性は、あまり覚えてないですね、過去は。
男は「すぐに曲がれない」
吉田:太田さんを見ていると、転身しても「積み上げてきたキャリア」に執着している感じがしないですよ。ご自分の中での筋は通っているんでしょうが、周りからしたら、「え、今日からそういう仕事なの?」って驚く。
太田:よく言われます(笑)。
吉田:男は編集者だったら編集しかできない。明日からカフェ勤務なんて到底受け入れられない。突然の部署異動にも対応できないものです。
太田:へえ、そうなんですか。
吉田:男は「すぐに曲がれない」のですよ。あとですね、昔『話を聞かない男、地図が読めない女―男脳・女脳が「謎」を解く』というベストセラーがあったけど、そもそも女性は地図なんか必要としない。地図なしでいけることのほうが強い。地図を頭に入れて、決めてから動くってことが通用しない時代になっちゃいましたから。
太田:なるほど。
吉田:立教の学生が講義で「じゃあ、どうすればいいですか」とよく聞いてきたけど、その問い自体がダメですよ。それって地図を求める行為でしょう。たとえて言うなら、東洋経済オンラインを読むだけじゃダメなんです。東洋経済オンラインに「何が書かれていないか」を見つけて、かつ、それを自分で書けるような人にならないと。
太田:東洋経済オンラインに物申す感じになりましたが(笑)。
吉田:ただ、自分以外の誰かが何をやっているかを知るために、東洋経済オンラインは每日読んだほうがいいかな。
太田:ちょっと上げましたね。
吉田:はい、上げました(笑)。
(構成:稲田豊史)
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