弁護士が明かす「論理的に会話できる人」の頭の中 議論の流れを「問題提起」によってつくり出す

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(写真:Fast&Slow/PIXTA)
今でこそ「議論」や「論理」というテーマで執筆活動し、複数のベストセラーも出している弁護士・谷原誠氏。しかし、もとから筋の通った話ができていたわけではなく、小さいころから言いたいことが何も言えず、とても悔しい思いをしてきたという。そんな谷原氏の状況が一変したのが、大学3年生のとき。物事を論理的に考えられるようになり、突如として議論に強くなった――。
なぜ、議論に弱かった過去から、変わることができたのか? その「秘密」こそが「司法試験の勉強」。なぜ、司法試験の勉強により論理的思考力が向上し、議論が強くなったのかを日常生活でも役立つようにかみ砕いた、『ポケット版 弁護士の論理的な会話術』から「論理的な思考力」について解説する。また、裁判でも使われる「門前払い」の会話術についてもあわせて解説する。

【争点整理】「何が問題なのかを整理しよう」

司法試験の「天王山」、論文試験。私が受験した当時の論文試験は、7科目14問の論文を書き上げるというもので、大変な作業でした。司法試験の論文の骨子は、だいたい次のような構成になります。

①問題提起
②結論
③理由づけ
④事例への当てはめ

このうち、最も重要なのが①「問題提起」です。これは、その論文で「何を論じなければならないか」を明らかにすることです。そして、自ら提起した問題に従って、その後の論文を書いていくことになるのです。したがって、議論すべき問題点を発見する能力が、論文の出来を左右することになります。

裁判では、「争点整理」という手続きが行われます。これは、その裁判について何が争点なのかを明らかにする手続きです。争点があいまいなままでは、証拠調べをするにしても、どの点を立証すればいいのかが不明確になってしまいます。そこで、まず争点を整理し、その争点に絞って証拠調べを行うのです。

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