弁護士が明かす「論理的に会話できる人」の頭の中 議論の流れを「問題提起」によってつくり出す

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このように、問題の所在を明確にすると、議論が整理されます。それ以降の議論の流れを「問題提起」によってつくり出すことができるからです。議論の方向性が見えなくなってきたら、何が問題なのかをもう一度確認して、話を整理するようにしましょう。

【門前払い】「あなたに議論をする資格があるのか」

議論をするときには、そもそも相手がその議論をする資格があるのか、検討しなければならないことがあります。

例えば、自分のことを棚に上げて、他人に対していろいろと要求してくる人がいます。そのような人に対しては、言動が矛盾していること、そして、その矛盾を説明しない限り主張に説得力がないから議論する資格がない、と通告することになります。

この、いわば「門前払い」の手法は、昔からよく用いられてきました。イソップ寓話集にも、こんなエピソードがあります。

あるとき、オオカミが羊の群れから子羊を奪って、自分のねぐらに持って帰ろうとしていました。すると途中でライオンに出会いました。ライオンは、その子羊をオオカミから奪い取ります。オオカミは、「これはオレの子羊だ。オレのものを奪い取るとはとんでもないことだ」と言いました。するとライオンは、次のように言ったのです。

「オオカミよ、この子羊はお前が羊の群れから奪い取ったものじゃないか。それを私に奪われたからといって、不当だというのはおかしい。キミには奪うことが不当だと言う資格がないんだよ」

オオカミは何も言えませんでした。つまり「他者から物を奪っておきながら、それを自分が奪われた途端文句を言うのは矛盾している」ということです。

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