民主主義国家における適切な司法制度運営の根幹を支えるのは、司法を担う裁判官による国民への「説明責任」と、彼らが法に基づき公平な判決を下すために必要な「独立性」である。
経済学では、両者にトレードオフがあると知られている。例えば、裁判官に説明責任を履行させるため政府に裁判官の任命権を付与すると、裁判官は政府に有利な判決を下すようになる可能性がある。
一方、外部からの圧力とは別に、司法制度・組織構造自体にも裁判官の独立性を阻害するインセンティブが組み込まれている。
筆者は世界最大の民主主義国であるインドの司法組織に焦点を合わせ、政府による人事介入を抑制するだけでは司法の独立性は担保されないことを明らかにした。具体的には、裁判官のキャリアインセンティブ(昇進インセンティブ)が、裁判官の公平な意思決定を阻害し、バイアス(偏り)を生み出すことを明らかにした。
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