5~6年間前にはあまり見かけなかった「けなし愛」がなぜ今の若者の間で広がっているのか。なぜ仲がいいのに友達のことをけなすのか。その実態を明らかにするために、大学生や高校生を対象にインタビューを行なった。
ここでは、6人の若者のインタビューを紹介する。また、けなし愛は、ノリツッコミのような関西特有のコミュニケーションのとり方ではないか、と思われる方もいるかもしれない。そこで、私の住んでいる大阪の事例だけなく、東京の事例もあわせて紹介し、若者全般にけなし愛が広まっていることを示したい。
Kさんがよくけなし愛をするのは、仲良し5人組のグループLINEにおいて。そのグループでは、一人の子が集中してけなされるそうだ。なぜなら、その子は自ら積極的にけなされるようなことを言うのだという。例えば、その子は彼氏がいるのだが、けなされるようにわざと「私、幸せなんで」と言ったりする。
Kさんは出会って間もない友達にも、穏やかにけなし愛を挑んでいるという。具体的には、「可愛いけど、腹黒そうだよね」というように一旦褒めてからけなすということをよくするという。それにより、初対面の人とも距離が一気に縮まり、会話が長く続くからだそうだ。
Tくんは、LINEのグループで会話が盛り上がっている時によくけなし愛をするという。画像③は、高校の部活メンバーでのグループLINEだ。会話が盛り上がっている最中に一人の友達が何か喋ると、「ハゲ」や「ロリコン」などと言ってけなすという。その友達もわざとそう言われるようなことを書くらしい。なぜなら、もうそのやりとり自体がそのグループで定番のネタになっているからだ。更に会話を盛り上げるためにわざとけなされることを言い合うそうだ。
Fさんは友達同士で一緒にいるときによくけなし愛をするという。LINEでも行うが、その友達自身の行動に関して直接言うことが多いそうだ。例えば、段差が何もないところでつまずいたりすると、「うわ!何もないのに○○ちゃん、つまずいた」と言ったり、友達の変な行動に対して「何か変な子おるで」や「マジキチやん」と言うらしい。けなし愛をすること自体がFさん自身のキャラになっているのだという。
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