医師が警告!「発達障害児の育て方」ここに注意 9割の人が知らない「発達障害の新常識」とは
加藤:子どもが何も話さない、何もしない場合には、他の症状を起こす可能性があっても表に出ていないことが多いので、脳を見ない限りは気づけません。それで家族だけでなく医師の見積もりの精度がかなり低くなってしまうのです。
デンマークの研究者ダルスガードらによるADHDの研究によると、男児は8歳、女児は17歳が発症のピークで、男児は女児よりも1.7倍多く発症しています。
このデータをそのまま受け取ると、男の子より女の子のADHDは発症が遅いように感じますがそうではありません。男の子のほうが多動性・衝動性が目立つことが多く、周囲にも迷惑がられるため、本人が困っていなくても早く診断されている一方で、女の子のADHDは、本人が不注意で困っていても発見されにくいと考えられます。とくにADDでは強みも弱みもともに目立たず、周囲に迷惑をかけることが少ない傾向があるので、見逃されてしまうのです。
正しい診断をすることは強みを伸ばすことにつながる
――早めに発見できれば、脳の強みと弱みに合わせた対処ができるはずですよね。
加藤:そのとおりです。発見が遅れれば、その間適切な対処ができず困りごとが増えてしまいます。実際、学生の間は症状が目立たなかったけれど、社会人になったらいろいろなことに対応できず、うつを発症してしまうケースもあります。確かに診断は難しいのですが、きちんと診断せずに「大丈夫です」と言ったところで、大丈夫ではないんです。
発達障害は、ADHD、ASDだけでなく、発達性協調運動障害(DCD)といって手足の動きと目の動きがスムーズに連動しない症状による障害など併存疾患として報告されており、さらに、抑うつ障害や不安障害、強迫性障害、睡眠障害、肥満などと密接に関係していることが明らかになっています。
これらの発達障害に関わる疾患は相互に密接に関係しており、併存する頻度が高いのです。
たとえば、睡眠障害は日中の脳の覚醒状態を低下させ、ADHD様の症状を引き起こします。
逆に言うと、睡眠をしっかりとり、環境を整えると困りごとの因子は減らすことができます。困りごと因子が減って、強みを伸ばしていくことができます。
そういったことを含めて正しい診断をし、対処していくことが大切です。
(取材・構成 小川晶子)
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