医師が警告!「発達障害児の育て方」ここに注意 9割の人が知らない「発達障害の新常識」とは
――強みに注目するというのは、すべての人にとって大切なことですね。
加藤:そもそも、人間は誰でも発達に凸凹があります。脳発達の仕組みで言えば、経験したことが凸になり、していないことが凹になっているだけです。当たり前の話ですよね。その結果を発達の凸凹として認識しているのです。
「凸凹があるから困っている」と考える人もいますが、それは違います。凸凹のある子が、困る場面に遭遇したから、頭がはたらかなくなっているのです。本人はそれを「困った」とは思っていないことが多いですけどね。自分の言動で周りの人が困っているとしても、それが子どもはなかなかわかりません。
周囲から見て問題行動があるならば、どういうときに問題行動を引き起こし、どういうときには起こさないのかをよく観察し、対処することです。
――脳の発達が未熟である凹の部分は、トレーニングなどで発達を促すことができるのでしょうか?
加藤:未熟な脳番地に焦点を当てたトレーニングで、きちんと成長していきます。強みのある脳番地を強化し、効率的な発達を促すことも可能です。脳の成長の仕組み3原則は、「1、脳は一生成長していく」「2、脳は脳番地ごとに成長する」「3、脳番地には強みと弱みがある」です。
家庭では、環境を適切に整えることで成長を促すことができます。
女子では発達障害の診断が9年も遅れる理由
――一般的には、症状から発達障害の診断をするというお話がありました。子どもの場合は、周囲の大人が問題行動等の症状から発見することになると思いますが、診断を間違うこともあるのでしょうか?
加藤:診断を間違えたり、発見が遅れたりすることは多いと思います。
とくに幼児期は、ADHD(注意欠陥多動性障害)であっても、あるいはADHDにASD(自閉スペクトラム症)が併存したADHDコンプレックスであっても「ASD」とだけ診断されている場合が少なくありません。
ADHDの中でも、多動性・衝動性は目立ちやすい症状ですが、それがない場合もあります。注意欠陥障害(ADD)と呼んでいます。これは多動性・衝動性と比べて表に出ないことが多く、見つけにくいのです。
また、ASDのわかりやすい症状の一つに言葉の遅れがあります。発語が少なく、言葉の発達が遅いように見える場合、ASDと診断されがちです。しかし、実際に診察してみると、言葉の理解は発達していて強みになっている子もいます。
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