医師が警告!「発達障害児の育て方」ここに注意 9割の人が知らない「発達障害の新常識」とは

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――その子の弱みが出ているというよりも、脳から見れば「強み」が出ているということでしょうか?

加藤:本人は脳の強みを最適に使っているのに、周囲がすべて弱みと捉えてしまうことが、どんどん生きづらさを生み出す原因です。

たとえば、みんなが話し合いをしているときに、一人でしゃべり続けてしまい、場の雰囲気を台無しにしてしまう子がいるとしましょう。この子は、みんなを困らせるためにやっているのでしょうか?

そうではありません。この子は、しゃべることができるからやっているのです。黙ってみんなの話に耳を傾けることはできなくても、しゃべることができるという強みを活かしているのです。これも脳画像を見るとわかります。

私は脳の中で、それぞれ役割分担されて集まっている神経集団の場所を分類し「脳番地」と名づけています。今の例の場合、伝達系脳番地が発達している一方で、聴覚系脳番地が未発達であることがわかるんです。

このように脳番地の強みと弱みがあることで、お友達の話を聞くよりも一方的に話すことが起るのです。これをしゃべりすぎる子としてしまい、伝達系脳番地の強みを見逃して、「黙ってもっと人の話を聞きなさい」と繰り返し言われ続けられたらどうでしょうか。本人にできることを無視して、苦手なことができないかぎり、「もうしゃべるな」と言われ続けたら、話さなくなり、話せなくなり、強みが弱みに代わっていきます。

このように、「脳の強み」の視点から子どもの脳の世界がわかれば、彼ら彼女らの言動がまったく違って見えるのではないでしょうか。

凸凹があるから困っているわけではない

――本書には、発達凸凹子どもの「脳個性」として41の妖精(ブレインチルドレン)が出てきます。たとえば自分のことばかり機関銃のように話す子の脳を動かしている妖精「フレンドリー」は、人見知りしないで誰とでも話せる強みがあるのですよね。困りごとにばかり目が行きがちですが、同時にこんな強みがあるのかと発見できます。

加藤:強みに目を向けることが大事です。強みによって、将来の展望が開けます。発展的に伸ばしていくことができるからです。弱みのほうはそうではありません。弱みを消せば将来の安全性やリスク回避にはつながるかしれませんが、将来の展望や未来の可能性、夢には結びつきませんよね。

お子さんの発達凸凹を心配している方には、この本を参考にしながら、ぜひ強みに注目してもらいたいです。

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