損保ジャパンとビッグモーターに金融庁がメス 「双方に同時立ち入り」と異例の態勢で臨む

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ビッグモーターとの取引をめぐっては9月以降、損保ジャパンが保険代理店の廃業届をビッグモーターに提出させようと迫っているとの観測が浮上し、混乱が広がった。

そもそも保険代理店の委託契約は、東京海上日動火災保険や三井住友海上火災保険などほかの損保も結んでおり、一連の不正請求問題を受けて軒並み契約解除に向けて動いている。すべての損保会社と契約解除となれば、代理店としてのビジネスができなくなるため、実質的には代理店として廃業することに変わりはない。

一方で、ビッグモーターの代理申請会社(幹事会社)である損保ジャパンが、廃業手続きを性急に進めてしまうと、どうなるか。ほかの損保が一時的に代理申請会社を務めなければならなくなったり、ビッグモーターの不正請求の最終確認といった個別のやり取りに支障が出たりなどの懸念が生じてしまう。

一枚岩とは言いがたい損保各社

そのため、廃業にあたっては損保各社間で事前にしっかりとすり合わせをしておく必要があるわけだ。だが廃業届についての観測は、各社とも寝耳に水の状況だったため、「現場がかなり混乱した」と大手損保の役員は話す。

「ビッグモータからサインをもらった書類が、(代理店)委託契約終了証兼廃業届となっているので、そうした観測が出たのではないか。あくまで委託契約終了の合意を取り付けたもので、廃業届としては受け取っていない。新たな代理申請会社も決まっていないので、契約終了日についても同様に決まっていないのが現状だ」

損保ジャパンはそのように話す。ビッグモーターは「相手のあることのため回答を控える」と回答した。

損保会社同士の疑心暗鬼が生んだ観測と混乱とみられるが、不正請求をめぐる対応で一枚岩になるべき損保各社が“空中分解”してしまっていることだけは間違いないようだ。

中村 正毅 東洋経済 記者

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なかむら まさき / Masaki Nakamura

これまで雑貨メーカー、ネット通販、ネット広告、自動車部品、地銀、第二地銀、協同組織金融機関、メガバンク、政府系金融機関、財務省、総務省、民生電機、生命保険、損害保険などを取材してきた。趣味はマラソンと読書。

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