中古車販売大手ビッグモーターの保険金不正請求問題を受けて、金融庁がついに立ち入り検査に踏み切った。事故車修理費用(保険金)の不正請求をめぐって、保険会社と事業会社の双方に同時に立ち入るという異例の態勢で検査に当たる。
9月19日に金融庁の検査官が立ち入ったのは、ビッグモーターと、不正請求を黙認していた損害保険ジャパンの2社だ。ビッグモーターについては、自動車保険を扱う保険代理店としてだけでなく、不正請求の舞台となった板金部門についても調べを進める。
板金部門は本来、整備事業として国土交通省の管轄。しかし今回の事案は、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)や任意保険の販売(募集)と半ば一体となった保険金の不正請求である。そのことを踏まえ、各板金工場も徹底して調べる方針だ。
ビッグモーターによる架空契約も調査へ
ビッグモーターをめぐっては、保険金の不正請求に加えて、架空契約(作成契約)にも手を染めていたことが発覚している。各店舗には自動車保険の販売で厳しいノルマが課されており、展示車両に保険を掛け保険料を従業員が自腹で払うことで、ノルマを達成するような行為が横行していた。
現時点で判明している架空契約は100件超だが、件数は今後膨らむ可能性がある。架空契約は、店舗の販売実績として計上された数カ月後に早期解約されるケースが多いという。そうした架空契約の予兆を保険会社が見逃していた可能性もあり、金融庁は調べを進める。
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