他方、損保ジャパンに対する検査の焦点は大きく2つある。不正請求の隠蔽と企業統治の機能不全だ。
損保ジャパンの白川儀一社長ら経営陣は昨年7月、関係役員を集めた非公式の会議を開いた。その際、ある重要な情報が共有された。
「工場長から不正の指示があった」というビッグモーター従業員の証言があったにもかかわらず、ヒアリング調査のシート上では、不正の指示はなく、あくまで「過失」であると書き換えられていた。その経緯が改ざんにかかわった出向者から報告として上がってきたのだ。
昨夏の取引再開の「真因」も焦点
ビッグモーターが従業員の証言内容を改ざんしてまで不正請求を隠蔽しようとしていることは明らかだった。だが、白川社長らは隠蔽に加担するかのように、追加調査を実施せず、いったん中止していた事故車の紹介(ビッグモーターへの入庫誘導)を、早期に再開する方向で議論を進めた。
不正請求に目をつぶるという“背任行為”を犯してまで、取引再開に突き動かした本当の要因はいったい何だったのか。
白川社長は引責辞任を表明した9月8日の記者会見で「他社に取引がシフトしてしまうのではという強い懸念を持っていた」と話したが、それが「真因とは考えにくい」(金融庁幹部)。関係者へのヒアリングや当時のメール、議事録などから詳しい経緯の解明を金融庁は進める方針だ。
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