損保ジャパンとビッグモーターに金融庁がメス 「双方に同時立ち入り」と異例の態勢で臨む

✎ 1〜 ✎ 25 ✎ 26 ✎ 27 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

他方、損保ジャパンに対する検査の焦点は大きく2つある。不正請求の隠蔽と企業統治の機能不全だ。

損保ジャパンの白川儀一社長ら経営陣は昨年7月、関係役員を集めた非公式の会議を開いた。その際、ある重要な情報が共有された。

「工場長から不正の指示があった」というビッグモーター従業員の証言があったにもかかわらず、ヒアリング調査のシート上では、不正の指示はなく、あくまで「過失」であると書き換えられていた。その経緯が改ざんにかかわった出向者から報告として上がってきたのだ。

昨夏の取引再開の「真因」も焦点

ビッグモーターが従業員の証言内容を改ざんしてまで不正請求を隠蔽しようとしていることは明らかだった。だが、白川社長らは隠蔽に加担するかのように、追加調査を実施せず、いったん中止していた事故車の紹介(ビッグモーターへの入庫誘導)を、早期に再開する方向で議論を進めた。

ビッグモーターへの金融庁検査
損保ジャパン本社に立ち入る1時間ほど前、ビッグモーターの本社機能がある多摩店(東京都多摩市)に金融庁の検査官が向かった
(撮影:風間仁一郎)

不正請求に目をつぶるという“背任行為”を犯してまで、取引再開に突き動かした本当の要因はいったい何だったのか。

白川社長は引責辞任を表明した9月8日の記者会見で「他社に取引がシフトしてしまうのではという強い懸念を持っていた」と話したが、それが「真因とは考えにくい」(金融庁幹部)。関係者へのヒアリングや当時のメール、議事録などから詳しい経緯の解明を金融庁は進める方針だ。

次ページ「観測」も交じり混乱が増した
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事