スーダン「気軽な写真撮影」で"命の危機"驚く結末 「テロ支援国家」で目撃!イスラム世界のリアル

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「何するんだ」

咄嗟に振り払った。相手を刺激しないよう拒絶の言葉と態度で行きたくないという意志を示した。

言葉が通じなくとも身振りや顔つき、声の大きさで相手に意志を伝えることは出来る。さらに人が集まって来た。

人々は静観しながら、この状況を監視しているようにも感じる。

群衆の中では「軽率な行動」が命取りに

しかし、全体的に異様な高揚感がある。集団での高揚感はやばい。予想外の方向に進む可能性がある。

助けてくれそうなアジア人や西洋人を探したが、いない。この街に着いてから、バックパッカーさえ見かけていない。観光客を装って写真を撮るという作戦がそもそも失敗だった。

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俺はイスラムの白装束を着た黒人たちに完全に囲まれた。

「お前の目的はなんだ」

怖そうな男たちは片言の英語でそう言った。

「いや、ただ観光写真を撮影していただけです」

男たちはさらに興奮し、早口で捲し立ててくる。そうやって皆の気持ちを扇動しているようにも感じた。意図がわからない。

建物の中で金品を巻き上げたいのか、女性を撮影した異国人(中国人だと思われている可能性大)に鉄拳制裁したいのか、それとも、本当に政治犯として拉致したいのか。

そういえば、中東ヨルダンで出会ったレバノン人の映画監督が「ベイルートでの撮影は気をつけたほうが良い」と言っていた。

戦時中の国での撮影は、雑居ビル一つをとっても誰がどこに住んでいるかなど、敵軍が爆撃をする際の有益な情報となる。見つかると拉致される可能性があるので気をつけろとのことだった。

脳裏に、イスラム過激派にカメラの前で銃殺されたジャーナリストの無残な映像が浮かんだ。

「ここまでやるってことは、ただの物取りとは違うかも……」

俺は脱出ルートを探った。だが、逃げて捕まるほうがやばい。本当に政治犯だと思われる。

捕まるか逃げるか、その決断をしなければならなかった。

スマートフォンの普及により、誰でも簡単に写真を撮ることができるようになった。海外でも、国内旅行のように気軽に写真を撮る人が増えている。

しかし、スーダンのような危険度が高い国だけでなく、どの国にも宗教的な習慣や独自の伝統、風俗・文化が存在する

これらを無視して撮影すると、命の危険を招く可能性がある。

海外旅行で写真を撮る際は、その国の文化を尊重し、ルールを守ることが大切だと、このエピソードは警告を鳴らしている。

外務省海外安全ホームページより

2023年4月15日午前(現地時間)、スーダンにおいて国軍(SAF)と準軍事組織である即応支援部隊(RSF)との間で衝突が発生しました。
今次衝突は、首都ハルツームを中心に、国内各地で発生している模様であり、9月28日現在も継続しています。
首都の空港は現在閉鎖されており、航空各会社もフライトの運行を見合わせています。
当面の間、スーダンへの渡航は見合わせてください。
後藤 隆一郎 作家・TVディレクター

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ごとう りゅういちろう / Ryuichiro Goto

1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーとなり「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「(株)イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「Google政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。

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