スーダン「気軽な写真撮影」で"命の危機"驚く結末 「テロ支援国家」で目撃!イスラム世界のリアル

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これまでムスリムの若い女性を撮影してきた経験から、「若い人なら年配のイスラム教徒より写真に寛容なのではないか?」と仮説を立てた。

話しかけるのが礼儀だが、写真として日常の一コマが撮りたい。典型的な観光客のようにスマホで街並みを撮影しながら、そーっとそのグループにレンズを向けた。

突如訪れた「命の危機」

「おい、お前何してるんだ! 撮影しただろう」

2人の若い男たちが小走りでこちらに近づいてきた。

「街の風景を撮影してただけだけど」

「噓をつけ、こっちにカメラを向けてたのを見たぞ」

「すみません。日本から来たバックパッカーで、世界の写真を撮ってます」

「そんなのどうだっていい。写真を見せろ」

俺はスマホのフォトアプリを開き見せた。

「女性の写真を撮ってるぞ」

男たちは怒りの表情を見せた。やばい。

「本当にごめんなさい。映っている写真を全て消去します」

そう言って、写真を相手に見せながら撮影したデータを消した。

「全部消しました。本当に申し訳ないです」

女性たちはOKのサインを気軽な感じで出してくれた。男たちは「彼女たちが良いならイイか」というような顔をしている。

その時、「おい、どうしたんだ」というような態度で、後方から5人くらいの40、50代の男たちが近づいてきた。

雑居ビルが立ち並ぶ街中には、白いイスラム装束を来た男性が数多くいる(写真:著者提供)

顔つきからあまり良くない雰囲気がする。若い男たちがアラビア語で状況を説明すると、その男たちが俺に近づいて来た。危険を察し、おどけた顔をしながら彼らの反対側にゆっくりと動く。

そして、事を荒立てないよう、静かに身を構えた。

「一緒に来い!」

彼らは俺を指差した後に、その指を古い雑居ビルのほうに動かした。人目の付かない所に連れて行こうとしている。あそこに行ったら身ぐるみ剝がされる。いや、もっと酷い目に合うかもしれない。

「すみません。もう全ての写真は消去しました」

そうやって写真を見せたが、首を横に振り、俺の主張を取り下げようとしている。彼らには英語が通じていない。

すると突然、男たちは声を荒らげながら2人がかりで俺の腕を摑もうとしてきた

次ページ人々の監視の中、事態は思わぬ方向へ
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