今が狙い目!旬の「ブドウの食べ方」超簡単なコツ 今年安い「シャインマスカット」だけじゃない選択肢

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いきつけのスーパーでは複数品種を売っていないという人には、ぶどう狩りもおすすめしたい。なぜなら観光ぶどう狩り園では、想像以上に多くの品種を育てていることが多いからだ。この点は、少数の品種だけ栽培していることが多いいちご狩り農園などと比べても、別の魅力がある。

たとえば「マスカット・オブ・アレキサンドリア」。通称「マスカット」。業界人は「アレキ」と呼ぶこの高級ブドウは2000年前から存在する品種と言われる。「マスカット」は極端な例としても、「マニキュアフィンガー」「ジャスミン」「ロザリオビアンコ」「サニードルチェ」「ヌーベルローズ」など、名前を見ただけで味わってみたくなる品種が、観光ぶどう狩り園には植えられている

大昔の品種と現代の最新品種の食べ比べまでできると思うと、ちょっと楽しくなってくる人もいるのではないか。熱烈なファンに支持されて古い品種がいまだに細々と生産し続けられている現状があり、多くの品種を生産しているぶどう園に行けば、店頭で見かけることのない自分好みの品種に出会えたりする。

推しの品種を見つけたときの喜びは、プライスレス。そんな心境にまでなれたら、毎年のブドウの季節がぐっと心躍るものになるはずだ。

日本有数のブドウの産地、山梨県勝沼町

では、おすすめの産地はどこか。ずばり、首都圏に住むの人の場合は、山梨県勝沼町だろう。日本有数のブドウの産地で、観光ぶどう狩り園も多い。あの「甲州」が発見された古くからのブドウ産地なだけに、珍しい品種もたくさん残されている。いまのシーズンであれば、一度に10品種程度は試食できるはずだ。

観光ぶどう園を訪れるメリットは、複数の品種を食べ比べできること。農園の人におすすめを聞くのも楽しい。写真は久保田園(写真:筆者撮影)

観光ぶどう園のうれしいところは、そのときに一番おいしい状態で収穫できる品種を、まず試食できること。

お気に入りの品種を見つけたところで、その木に案内してもらって自分で収穫したり、農園の人においしそうな房を選んでもらったりする。こうすれば自分の好みにあわないハズレを引く危険性は限りなくゼロになる。

同じ家族でも、ブドウの味の好みがバラバラなことはよくあるそうだ。ということは、家でブドウを食べるとき、それまでは誰かが味について妥協していたことになる。こういう発見や、たわいもない家族の会話、それから帰宅後にぶどう園での思い出とともに何回かに分けて味わうおいしいブドウ。このような体験はお菓子では味わえないはずだ。

ブドウの旬は10月上旬頃まで。スーパーで、ぶどう農園で選ぶ際の参考にしてほしい。

竹下 大学 品種ナビゲーター

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たけした だいがく / Daigaku Takeshita

1965年東京都生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、キリンビールに入社。新規事業としてゼロから花の育種プログラムを立ち上げ、プロジェクト中止の決定を乗り越えて同社アグリバイオ事業随一の高収益ビジネスモデルを確立。2004年には、All-America Selectionsが北米の園芸産業発展に貢献した育種家に贈る「ブリーダーズカップ」の初代受賞者に、ただひとり選ばれる。技術士(農業部門)。著書に『植物はヒトを操る』(毎日新聞社、いとうせいこう共著)、『東京ディズニーリゾート植物ガイド』(講談社、監修)、『日本の品種はすごい うまい植物をめぐる物語』(中央公論新社)、『野菜と果物 すごい品種図鑑』(エクスナレッジ)等。

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