サッポロ社長「あわよくば1位になりたい」 業界4位から巻き返すチャンスはあるか

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――特定保健用食品(トクホ)でノンアルコールビールを発売する。アルコールが飲めない状況で、健康も気にする人は、お茶を飲むのでは・・。

だったらお茶飲めばいいじゃない、というのはまったくその通り。それでも、ビールに近いものが飲みたいと思う方はいらっしゃる。トクホは品ぞろえの一つで、健康を気にされている方に、こういう商品もありますよということ。想定している販売数量も、べらぼうなものではない。

おが・まさき●1958年生まれ。82年慶應義塾大学卒、サッポロビール入社。2002年にマーケティング部 サッポロブランド グループリーダー。首都圏本部・東京統括支社長を経て、09年に執行役員。10年に取締役常務執行役員・営業本部長。13年から現職(撮影:梅谷秀司)

――4月から新制度として始まった「機能性表示食品」でノンアルコールビールを発売する予定は?

俎上に載っている商品は今のところない。キリンさんやアサヒさんが、機能性表示の商品を出す計画があると聞いている。

だが、トクホのノンアルコールビールでサッポロの商品しか売り場になければ、それしか売れないわけです。(ライバルが)トクホに近い機能性を謳った商品を出すのは、そういうことだと私は思っている。

――ライバルは早く追随するために、手続きが簡便な機能性表示制度を利用した、と。

まあ、そういうことじゃないですか。

チャンスは酒税法の改正

――業務用ビールの陣取り合戦が激化している。昨年、再上場したすかいらーくに、サッポロ以外のビール大手3社が出資した。

決してすかいらーくさんと関係が悪いわけではなく、今でもお付き合いが続いている。金額とか販売数量とか、いろんな話の中で今回はそういう結果になった。当社は出資をしない方針というわけではない。

ただ、陣取り合戦(業務用取引の奪い合い)が”高額化”しているのは事実。当社としても業務用チャネルはすごく重要。情報発信力が高いうえ、第3のビールではなくビールを売って頂けるお客さまが多い。昔からスタンスは変わっていない。

――出資だけでなく、協賛金など業務用チャネルの確保にかかるお金が高額化している理由は。

ビールの需要が減っているからだ。量を追求する時代ではないにせよ、ビールは装置産業なので、ある程度の量を確保したい思惑がある。業務用は大手チェーンさんであれば、その取引量が見込めるため、陣取り合戦がおのずと激しくなる。

──2014年はビール市場でのシェアが向上したものの、3位のサントリーのほうが伸び率は大きい。

どのくらい差があるかはつねに意識している。私が会社にいる間には無理かもしれないが、あわよくば1位になりたいとも思っている。

そのためには、お客様から爆発的に支持される商品を作らないといけない。今の状況で偉そうなことを言っても“遠ぼえ”にしか聞こえない部分もある。ここぞという時に勝負したい。酒税法改正は、もしかしたらそういうチャンスかもしれない。

(「週刊東洋経済」2015年5月16日号<11日発売>「この人に聞く」に加筆)

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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