さらに、2022年8月には、中国科学技術協会が、第1回「科創中国」イノベーション基地のリストを発表した。これは、科学技術イノベーション建設を深化させ、より多くの人材とイノベーション資源を動員し、地方の経済社会の質の高い発展を促すため、194のイノベーション拠点を認定するものである。
このように、中国は新興科学技術の産業クラスター化を進め、多用途(マルチユース)先端技術の研究開発、産業化、社会実装を進め、また民間での利用を目的とした先端技術を軍事・国防に転用したり、行政への利活用を推進している。さらに、そうした技術や製品を他国に輸出することで、国際的な影響力を拡大しつつある。
情報化した戦争に対応すべく戦略方針を更新
一方、軍事面では、テクノロジーの発展に伴い、陸・海・空のみならず、新領域とされる宇宙・サイバー・電磁波、さらには認知領域へと戦略領域が拡大してきていることが挙げられる。そのため、習近平政権下で、IT技術などによる情報化した戦争、AI技術などによるインテリジェント化した戦争に対応すべく戦略方針を更新してきている。
こうした科学技術を源泉とするハードパワーを追求するために、2015年に公表された「中国製造2025」では、目標の1つとして「重大技術設備に対する経済社会発展と国防強化の需要を満足させること」を掲げるなど、国防技術の発展と経済成長を一体化して進めようとしている。
他方、中国がこれまで獲得してきた技術標準を国際標準として確立する動きも進められている。2021年10月10日、いわゆる「中国標準2035」として制定作業が進められてきた「国家標準化発展綱要」が公表された。
この綱要では、新興技術に関する標準化を進めることに加えて、国際標準化機関や国際的な専門標準化団体への積極参加や「一帯一路」、BRICS、APEC、その他各国との標準化分野での連携、標準国際化プロジェクト実施などによる国際標準策定への関与と中国標準・国際標準の互換性促進を進めていくことなどが掲げられた。
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