【連載第1回:技術と国際政治】
科学技術は伝統的に「パワー」を構成する1要素としてみなされており、国家が科学技術への注力を内外に表明することは珍しいことではない。中国の習近平国家主席は2025年までに製造強国となるという「中国製造2025」を掲げて、次世代情報技術、先端的デジタル制御工作機械・ロボット、航空・宇宙設備、新材料等に注力し、軍事と民生の融合を進め、製造業全体の向上を推進するとした。
一方、2018年、アメリカでは当時の副大統領マイク・ペンスが、中国が世界の先端技術の支配と知的財産の奪取を企図していると明示的に中国を非難した。その後2023年現在に至るまで、大国たる米中の半導体やAIといった技術を巡る競争と摩擦は続いている。
生成AIはいかに国際政治上のパワーに変換されるか
国際政治領域でのパワーと科学技術が同義かは自明ではないが、国家は科学技術をパワーに変換することを企図して競争していると見るのは自然だろう。
本稿では科学技術の中で近年、注目を集める例として、生成AI(Generative Artificial Intelligence)が、どのように国際政治上のパワーに変換されるかを考察してみたい。
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