「生成AI」は国際政治におけるパワーとなるのか 偽情報による情報戦にとどまらない応用可能性

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2. ChatGPTの登場

2022年11月にアメリカのOpenAIが発表した「ChatGPT」は2カ月間で1億人の利用者を獲得した生成AIによる対話型サービスである。ChatGPTは文章生成を行い、他にも文章を入力することで画像を生成する「DALL・E2」「Midjourney」「Stable Diffusion」といった生成AIも現れた。

ChatGPTではユーザがプロンプトと呼ばれる文章による指示を出すことで、文章の創作、要約、翻訳、プログラム生成等を行うことができる。生成AIの特徴は自然言語からプログラムを生成する等、その高度な変換能力にある。

ChatGPTは技術的には大規模言語モデル(Large Language Model, 以下LLM)と人間によって行われる強化学習フィードバック(Reinforcement Learning from Human Feedback)を組み合わせて構築される。人間による強化学習フィードバックは非倫理的な内容の生成の排除を可能にする。

次の単語、次の単語と予測を繰り返し文章を生成

ChatGPTの高度な文章生成を可能にしたのが「Transformer」という技術である。Transformerは2017年にGoogleのアシシュ・ヴァスワニらが「Attention is All You Need」によって提唱した注意機構(Attention Mechanism)と多層パーセプトロン(MLP: Multi-Layer Perceptron)によって構成される。

注意機構は既に並んだ単語から必要な部分に「注意」して取り出し、多層パーセプトロンは大規模データで学習した内容(人間でいえば長期記憶)から実行中の処理に関係する内容を取り出す。注意機構と多層パーセプトロンは、単語から次の単語、そのまた次の単語という形で予測を繰り返し、文章を生成している。

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