中国が短期間で技術大国へ成長した「驚きの戦略」 官民一体の「かえる跳び」で世界覇権を目指す

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中国式イノベーションの秘密とは(写真:Graphs/PIXTA)
中国では近年、次々と革新的なイノベーションがおきており、すでにいくつかの分野においては技術大国アメリカをしのぐほどの開発技術を有しています。どうしてここまでの急成長を遂げることができたのか。中国式イノベーションの正体と、安全保障との関わりについて、ライターの沢辺有司氏が解説します。
※本稿は『いちばんやさしい地経学の本』から一部抜粋・再構成したものです。

特定の技術なら新興国が逆転できる

中国では、先端技術分野において次々と革新的なイノベーションがおきています。それはAIや第5世代移動通信システム(5G)、量子通信、半導体、バイオテック、グリーンテックといった分野で、これらの分野ではすでに中国がアメリカを超えているものもあるといわれています。

しかし、数十年前まで新興国とされていた中国が、なぜわずかな期間でアメリカの地位をおびやかすほどに成長できたのでしょうか?

中国でおきているイノベーション、つまり「中国式イノベーション」の特徴はなにかというと、政府が主導した官民一体型で、重点分野に集中的に技術と資本を投下して攻略するというものです。これによって、「リープフロッグ(かえる跳び)」ともよばれる現象をおこしています。

リープフロッグ現象とは、社会インフラが未整備の新興国が、社会インフラがすでに整備されている先進国のある特定の技術において追い越してしまうことをいいます。

典型的なものとして、携帯電話があります。有線電話が整備されている先進国では、それまでの規制がハードルとなって、携帯電話に移行するまでに時間がかかります。ところが、有線電話が整備されていない新興国では規制がないので、携帯電話の普及が一気に進み、先進国を逆転します。

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