中国が短期間で技術大国へ成長した「驚きの戦略」 官民一体の「かえる跳び」で世界覇権を目指す

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中国式イノベーションには、より明確な目標があります。それが、2015年5月に習近平が発表した産業発展政策「中国製造2025」です。

「中国製造2025」は、2025年までに世界の製造強国入りを果たすことをめざしています。そして、建国100周年(2049年)までに世界の製造強国の先頭グループに入ることをめざしています。

「中国製造2025」のなかで重点分野としてあげられているものは、次世代通信技術(ITや半導体を含む)、ロボット、航空・宇宙設備、省エネ・新エネルギー自動車、バイオ医薬など10分野です。すでに重点分野におけるサポートがはじまっています。

例えば、半導体は「中国製造2025」のエンジンと位置づけられ、2025年までに自給率70%の達成を目標にかかげています。半導体産業育成のため10兆円規模の国家大基金(CICF)が用意され、中国国内各地で半導体工場の新規建設計画が進んでいます。

米中半導体戦争が勃発

ただし、2021年の中国の半導体自給率は16.7%と伸び悩んでいます。2025年までの自給率70%達成はむずかしそうです。

半導体は、中国にとっての地経学上のチョーク・ポイントの1つになっています。台湾の半導体ファウンドリTSMCを巻き込むかたちで米中半導体戦争がおきています。

省エネ・新エネルギー自動車産業について見てみると、中国のEVを中心とする新エネルギー車の輸出は年々増加していて、2022年は約68万台です。前年の2.2倍となりました。中国はガソリン車の製造・販売では日米欧メーカーにおくれをとっていましたが、「中国製造2025」の公表前から新エネ車による巻き返しをはかり、その成果があらわれてきています。

ただし、新エネ車をもっとも多く輸出したメーカーはテスラで、4割をしめています。中国の悲願である新エネ車の成長段階において、ライバルのアメリカのメーカーが大きくかかわっているという構図になっています。

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