特許などに縛られない開発手法は、中国にとってアメリカ輸出規制の突破口となる。
広東省深圳市のスタートアップ事情に詳しいスイッチサイエンス社の高須正和氏を大学にお招きしてお話を伺う機会があった。テーマは、中国におけるオープンソース・ソフトウェア(OSS)と電子産業との関係についてだ。
OSSとは、ソフトウェアのコードを公開して、商用/非商用を問わず自由にコピー・改良することを認め、多くの技術者にそのプロセスへの参加を促すことでイノベーションを促進する、という考え方である。ただし、準拠したソースコードを明記することが求められるなど、コードの公開に当たってはさまざまなルールがある。
高須氏によれば、中国政府が知的財産権への取り組みを強化する中で、OSSの開発や活用にも注目が集まっている。2020年には政府の肝煎りで中国初のオープンソース基金が設立されるなど、官民を挙げて独自の開発環境が整備されているという。
こういったOSSの開発と深圳に集積する電子産業とがどのように結び付いているのか、すぐには想像できないかもしれない。また、近年の中国の電子産業は、半導体産業への投資を前提とした政府系投資ファンドの設立など、国家による統制色が強くなっているというイメージがある。そういった状況下で、技術者の自発的な参加に委ねられたOSSの開発がはたしてうまくいくのだろうか。
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