中国リニア「時速600km成功」報道のウソと真実 正解は「時速600kmを目指す車両の試験成功」
東京―名古屋間を結ぶリニア中央新幹線の2027年開業が危ぶまれる中、中国で高速国産リニアモーターカーの開発が着々と進んでいる。6月には日本が試験で記録した「最高時速603kmにほぼ追いついた」といった報道も見られたが、はたしてその現状はどうなっているのだろうか?現地の資料などを分析しながら、改めて考察してみよう。
「600km走行」はしていない
今回の走行テストは6月21日、上海の同済大学キャンパスに設けられたリニア試験線で行われた。中国のメディアは、「時速600kmの高速リニアのテスト車両が試験走行に成功」と報道。これを受け、日本を含む海外メディアも同じような趣旨で報じた。日本の一部メディアは「時速600キロのテスト走行に成功した」と紹介した。
ところが、テストの様子を伝える写真には、高架上を通勤電車の中間車のような平べったい前面の車両が写っており、時速600kmで走る車両にしては空気抵抗への配慮などがまったくなさそうな構造だ。これを見た多くの人々は「これがそんな高速で走ったのか?」と疑問を感じたことだろう。
実際には、今回の試験線の全長はわずか1.5km、試験走行の際の時速も20~30km程度にとどまったことがわかってきた。
リニアを最高時速600kmで走行させるには、現在走っている「上海リニア」の加速度などを勘案すると全長50km前後の試験線が必要と考えられ、とても大学のキャンパス内だけで造れるようなものではない。つまり、今回の試験を正しく表すなら「時速600kmの高速リニア実用化に向けた試験用車両がテスト走行に成功」といったところだろう。
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